17 店長と店員②
今回はちょっと虫の話です
お食事中には読まないで下さい。
互いに向かい合って料理を食べる
暫しの沈黙···
しかし、そこには気まずい空気はなかった
「ご馳走さま。」
先ずは麗華が食事を終える
「はい。お粗末様でした。」
影司もすぐに食べ終わる
「苺とブルーベリーどっちが良いですか?」
影司は皿をまとめて流しへ持って行く
「苺!!でもブルーベリーも良いなぁ···」
腕を組み悩む麗華···
どちらにしようか真剣に悩んでいる様子
「そんな店長にはこれをどうぞ」
冷蔵庫から透明な硝子製のパフェグラスを取り出し、麗華の前に置く
「これは?パフェだよね?」
「えぇ。試作です。底にゼリーを敷き、苺ヨーグルト、シリアル、ブルーベリーヨーグルト、苺アイスとブルーベリーアイスのハーフ&ハーフを乗せて、生クリームをアイスの上に少量乗せて、周りをカット苺とブルーベリーを交互に敷きました」
見た目はシンプルだし、彩りも少ない···「完全に失敗した」と今では思う
でもせっかくだし、見せるだけ見せて自分で食べようと思ったのだ
店長には別に作っておいた苺ヨーグルトとブルーベリーヨーグルトを出せば良い
苺もブルーベリーも果肉をたっぷり入れてあるので、満足してくれるだろう
冷蔵庫から苺ヨーグルトとブルーベリーヨーグルトを取り出し、麗華の方へ振り向くとパフェをモリモリ食べる姿が···
「あの···店長?それ失敗作なんですが···」
「ほうなの?おいひいよ(むぐむぐ···)」
「(気に入ったのかな?)···とりあえずそれがあるなら、こっちの2つは冷蔵庫に···」
「それも食べるから!?ちょうだい!!」
見るとパフェはもう底にまで到達しかけている
「結構量があったのに···まぁ、食べられるなら···どうぞ」
「ありがと~」
麗華は笑顔で出したヨーグルトを食べる
その笑顔を見て『陽炎』の幻覚の麗華の言葉を思い出した
『ねえ?今まで●した人達の事···どう思ってる?その行動は正しいの?本当に●ぬべきは貴方じゃない?』
一瞬、ほんの一瞬だけ影司から殺気が漏れた
その瞬間、麗華は身体を強張らせ、影司をみていた
···失敗した!!まさかこんなミスをするとは!!店長になんて事を
内心で後悔する影司に、麗華は困った顔で声をかけてきた
「えっ···と、ヨーグルト全部食べちゃってごめんなさい。影司君も食べたかったよね?ごめんね」
店長の前には空になった器が2つあった
どうやら全部食べてしまった事を怒ったのだと思ったようだ
そんな見当違いな事を言う麗華を見て、影司は笑みを浮かべて誤魔化そうとする
「違いますよ。怒ってません。ちょっと『黒い奴』が見えた気が「きゃあぁぁぁぁぁ!!どこ!?どこにいたの!?」
麗華の悲鳴で掻き消され、麗華が抱きついてきた。
速い!?俺が反応出来ない速さだと!?って違う!!
さすがに慌てて「見えた気がしただけ」と言うが、麗華はなかなか離れなかった···。
謝る麗華に影司は紳士的対応をし、スーパーで大容量の設置形殺虫剤を大量に購入。
店全体に設置し、全て焚いて外へ避難。
大掃除は明日する事にして、帰宅する2人であった。
「(まぁ実際何匹かはいたが、黒影で処分していたから見つからないけどな···)しかし、明日も開店しないとなると俺の給料が失くなってしまうんだが···早く開店再開して欲しいなぁ···」
そんな事を思いつつ、明日も開店出来ない事に密かに落胆する影司であった。
次回『消えた計画』
何であんなに対策しても出てくるん?




