14 影司の過去と『陽炎』 (影司視点)
影司の過去話?
「ここはどこだ?」
気がついた影司は黒い世界にいた
「夢?それにしては···」
周りを見るが何も見えない
試しに『黒影』を使って探査してみるが、何も反応がない
「さて、どうしたもんか···」
暫く考えていると、少し離れた場所に光が見えた
『何もしないよりはいいか』
と、光の場所へ近づくと、一人の少年が立っていた
「···子供時代の俺か。」
そう呟くと、少年は消え、次に現れたのは地面に水溜まりがあり、そこにうつ伏せで寝ている···。いや、倒れている白衣を着た大人と、その姿を見下ろす形で立っている少年がいた
よく見ると水溜まりの色は赤い色をしており、少年の手にはナイフが握られており、刃先からは血が滴り落ちていた
「あの時の俺か···」
影司が呟くとまた場面が変わる
まるで影司の過去を第三者視点で見せられているような···否、見せられているのだ
何度も場面が切り替わり、ついには『喫茶日向の店長』である麗華が出て来た
「···店長。」
影司が呟くと、麗華は口を開いた
『ねえ?今まで●した人達の事···どう思ってる?その行動は正しいの?本当に●ぬべきは貴方じゃない?』
その言葉を聞いた影司は、目を閉じて意識を集中する
全身を探れ···必ずある···見つけた!!
自分の脳にある異物を見つけ、黒影で消滅させる
その瞬間、世界は砕け散り、目の前に一人の男が立っていた
「やはり、お前か···『陽炎』···。『人の頭の中に侵入して意識を隔離し、対象に幻覚を見せ、じわじわと火で炙る様に精神を破壊する』暗殺手段···。『端から見れば外傷も無く、眠るように亡くなっているので、気がつかれない。』これを得意としていたのはお前だけだものな」
陽炎と呼ばれた男は目を見開き、困惑していた
『あり得ない!!私の力を破る事は出来ないはず!!』と
「しかし相手が悪かったな。俺はそういった事にも対処出来るんだよ」
影司は陽炎に気がつかれない様に黒影を使い、陽炎の神経へ侵入。脳を支配し、身体の自由を奪う
『!?動けぬ!!まさか黒影が!?』
「今さら気がついても遅い。お前はもう、言葉を発するどころか、指を1㎜動かす事すら出来ん。」
「···ふむ。依頼主はコイツか。なるほど···あの施設の生き残りは俺とお前だけか。それで証拠隠滅の為にお前を差し向けたか。」
陽炎から必要な情報を次々読み出す
「必要な情報はこれだけか。じゃあな陽炎。···せめてもの情けだ。苦しまずに消してやる」
そう言うと、影司は陽炎を黒影に沈めた。
目を開ける。見知った天井だ
どうやら無事還ってこれた様だ
「しかし、油断した。力を使った後の隙をついて来るとは···」
部屋の照明を点けて冷蔵庫から水を取り出して一気に飲み干す
「······俺に手を出すと言う事が、どういう事か、教えてやる···」
影司が普段からは想像出来ないほと冷たい声で呟く
そして黒影を発動。
その日、世界から小さな島が一つ、姿を消した
しかし、それを知る者は誰もいない···
唯一人を除いて···
次回は 影司の過去と『陽炎』·裏 (黒幕視点)




