10 堂島玄一郎とクズの末路·裏 (影司視点)
裏話です
「うぅ···只でさえ少ない給料が···」
自宅に戻った影司は落ち込んでいた
理由は勿論
今回の事で『1週間給料10%減』のペナルティを言い渡されたからだ
「うぅ···薄い財布が更に軽く薄く···。ご飯は店の賄いがあるからいいけど、今週は何も買えないよ···。」
影司の給料は週払いであり、元々は麗華の優しさで働かせてもらっているので、給料も安いのである
「とにかく今週は節約に節約を···ん?この反応は···」
いかに節約できるかに闘志を燃やしていた影司だが、監視対象の一つに反応があった
(何かやろうとしてるのかな?)
意識を反応があった対象へと向けると、そこには堂島玄一郎が誰かに指示を出していた
『堂島勇は監視対象』である
その対象と深い関わりがある祖父である堂島玄一郎に監視がつくのは当たり前であった
「(随分とおつかれの様子で···。でもこの人はあのクズの被害者に裏からとは言え、援助しているから『黒』ではなく『白』に近いんだよな···少し見て見るか)」
影司は更に意識を集中させて玄一郎の思考を読む
「あ~、これはもう完全に諦めさせた方がいいかもね。そうじゃないとこの人が心労で倒れて、悪ければ壊れちゃうよ」
「しょうがない、少しだけ助けてあげるか···」
ぶつぶつ文句を言いつつ、玄一郎へ接触(声だけ)そして1日の猶予を与えた
「今日はここまで!!疲れたので寝る~」
布団にダイブした影司は、夕飯も食べずに眠りについた
そして次の日
2人の様子を見ていた影司は断罪執行を決定する
まずはあの時の2人の映像を勇の脳内に映し出し、人気のない道へと誘導
その後は別空間に閉じ込め、勇を消滅した。
そして勇の周りの勇に関する記憶、映像、記録を消滅。
これで堂島勇と言う存在は消滅した。
しかし、影司は玄一郎にだけは記憶の消滅処理をせず、記憶の一部を残して終わらせた
その理由は玄一郎からの願いであった
「記憶の消滅は出来ればしないでほしい。あんな愚者であっても、やはり孫には代わりない。無理ならせめて、朧気に憶えているくらいは許容してほしい。対価としてワシは全ての事から手を引く。援助は勿論続けさせる。それでも願いが叶わぬのなら、ワシの事も消してくだされ。」
影司はその願いを聞き入れ、玄一郎の記憶を操作し、一つだけ対価を要求した
『その願いは聞こう。但し、一つ対価を要求する。』
対価は···人里離れた場所で静かに暮らせ。『そこなら〖墓くらい作っても構わない。〗···いずれ入るのだからな』
数年後のある日。
今日は喫茶室の定休日
影司はある場所へ来ていた
「良かったな。お前みたいなやつでも墓があるんだもんな···」
目の前には小さな墓石がある
人目を避ける様に作られた墓石には一人の名前が彫られていた。
『堂島玄一郎』
しかし、ここに眠る『もう一人の名』を影司は知っている
「爺さんに感謝するんだな。このセカイで唯一人、お前の事を憶えていたんだから···」
これにて第一章の話は終わります
次回『緊急連絡と休業』
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