1 喫茶店
完全不定期更新です
静かな街通りにある小さな喫茶店の店員と店長のお話です
ーカランカランー
扉に吊るされたベルが鳴り、来客を知らせる
「いらっしゃいませ。お好きなお席へどうぞ」
カウンターで作業をしていた男は、手早くおしぼりと水を用意する
「いつものブレンド珈琲をお願いね」
来たのは常連のお婆さんで、注文しながらいつもの席へと座る
「畏まりました」
男も慣れたもので、おしぼりと水を提供し、ケトルで湯を沸かし、珈琲ミルに豆を入れて豆を挽く
暫くすると湯が沸き、温めておいたドリッパーとサーバーを用意し、ドリッパーにフィルターをセットして挽いた珈琲を1杯分入れる
(珈琲セットよし、湯を注ぐぞ)
男は丁寧に湯を注ぐ
美味しいと言ってもらえる様に…
飲む人の笑顔を思い浮かべながら…
「お待たせしました。オリジナルブレンド珈琲です。砂糖とミルクはお好みで。当店の珈琲はお代わり1杯無料ですので、よろしければご利用下さい。それではごゆっくり」
男はいれたての珈琲とミルクと砂糖をトレイにのせ、常連のお婆さんの前に移動すると、それぞれを説明しつつ提供し、カウンターへ戻る
『相手が常連であろうと、初心忘るべからずで丁寧に接客する事』
これは店長に言われた事の1つである
「ありがとうね」とお礼言った常連のお婆さんは出された珈琲に砂糖を入れ、静かに飲み始めた
邪魔にならない様に視界外へ移動した男は軽く会釈をして使った器具を片付け始めた
店の中は音楽等は流れておらず、ゆっくりとした時間の流れを感じる雰囲気である
『お客様が自分だけの時間を過ごせる喫茶店でありたい』
そう願いを込めて、今日も営業している
次回から店長出ます