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おまけエピソード1 

階段ダッシュの途中で止まってしまった主人公の末路

階段ダッシュ初日、脚が攣りそうになり立ち止まっていた。


「どうして、止まってますの・・・?」

「え、エステル・・・ひっ」


 いつの間にか俺の近くまで下りてきた彼女の手には鞭。


「待って!がんばるから!」

「わたくしの所に来たくなかったってことですの・・・?」

「違う!足が動かなくて!」

「今、動いてますわ」


 確かに姫様の圧力に負けてじりじり下がっているけど、これは恐怖から無理に動いているだけだ。

 バチンッと鞭が鳴らされる。


「待って!待ってください!」

「嘘つき・・・許しませんわ・・・」


 無表情。ヤンデレスイッチが入っている。

 これが一番怖い。例え同じ怖いでも笑っている方がまだいい。


「ひっ!・・・っ!ユズハ!?離して!」

「申し訳ありません。勇者様」


 いつの間にか背後にいたユズハに身体の自由を封じられる。

 

「や、やだ!ムチは!ムチだけは!お願い!」


 必死に逃げようとするが、メイド様の力の方が強い。

 トラウマ、再び。

 コツ、コツ、とヒールの音を鳴らし階段を下りてくるエステル。

 

「うふっ、女の子から逃げられないなんて、なんて非力なの。ねぇ、カケル様」

「ひいい!エステル様!ほんと無理!」


「・・・ふふ、そんなに怖がらないで。大丈夫です。わたくしは治癒魔法を使えますから。すぐ治りますわ」

「いやだ!ユズハ!!!助けて!」


 泣きながらユズハに助けを求めるが、無言。

 無駄なのは知っていたけど叫ばずにはいられなかった。


「・・・は?ユズハ?わたくしと話しているのに・・・?」

「ち、ちが!」

「わたくしよりも、ユズハですか」

「誤解です!俺はエステル一筋ですからぁ!」


 もちろん嘘です。どうしても鞭を回避したかったんです。

 どちらかと言えばユズハ、もっと言えば女神様の方が好感度が高い。

 ただ嘘も方便。犬と鋏はなんとやら。


「・・・本当、ですの?」

「ほ、ほんとうです」


 ピタッと姫様の動きが止まった。

 これはまさか、やったか?

 対姫兵器の完成か。

 無表情のエステルは俺の目をじっと見ている。ここでバレたら殺されるかも知れない。

 必死で見つめ返す俺。


「・・・嘘、ですわね」

「ちが!」

「あぁ・・・わかってしまいました。わたくしをわざと怒らせて、叩いて貰いたかったのでしょう?」

「それは本当に違います!」


 残念!エステルに嘘が看過されてしまった!

 そして変な方向に解釈された。


「変態ですわ・・・ほんとうにどうしようもない・・・ふふ、うふふふ」

「待って!ンンンン!?」


 口を塞がれた。どうやらお迎えのお時間のようだ。

 さようなら。


「変態な上に・・・ざこ・・・でも大丈夫ですわ。わたくしが調教して、わた

くし色に染めて差し上げますから、ね!ほら!どうですか!気持ちいいですか!」


 聞こえるのは鞭の音と、エステルの声

 こうしてまた闇に還る俺なのだった。


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