第91話 どこ行ってたんですか!?
「――あ、木神先輩、どこ行ってたんですか!?」
海川柚斗と魚見てたら、なんか後ろから声がする。
言音だ。
「急にいなくなるからびっくりしましたよ!」
「いや、ちゃんと言ったぞ? 『ちょっと行ってくる』って」
「え、そんうなんです?」
「言ったよな? 海川柚斗」
「まぁ、言ってたけど……。あと、お前俺のことフルネームで言ってるの? 普通に柚斗でいい」
柚斗、か……。
なんか響き悪い……。
「夜泉先輩たちも待ってますよ!」
「いや、待ってたの俺たちだから」
「うるさい!」
言音に言った海川柚斗に、言音が大声で言う。
言音……、『うるさい』って言った……?
言音でもそういうこと言うんだ。
「それより! 早くしないとイルカショーが始まってしまいます!」
「イルカショー?」
「はい! この水族館のトップイベントで、イルカのショーが見れるんですよ!」
へー、イルカか……。
生では見たことないな……。
「それで! そのイルカさんたち、結構アクロバティックらしいんですよ! お客側も参加する、みたいなやつです!」
俺たちも参加するの?
え、なに、イルカと一緒遊んだりするの?
「早く行きますよ! 木神先輩、離れないでくださいね!」
言音かいきなり俺の手を握ってくる。
そして、全速力で走りだした。
待って、めっちゃ速い!
足がもつれる!
言音ってこんなに足速いの!?
「――おーい、あんまこういう場所で走んなよー!」
遠くで柚斗がなんか言ってる。
なんであいつは追いかけてこない?
「ちょっ、言音……! 速すぎ……!」
「え? もう疲れたんですか? そんなんじゃ白糸先輩に笑われてしまいますよ?」
「いや、別に咲羅に笑われても――」
「江島先輩にも笑われるかもしれませんね!」
総一朗?
総一朗に笑われる?
それだけは絶対に嫌だ。
あいつに笑われたくはない。
俺は超頑張って全速力で走る。
自分でもびっくりするくらい速い。
「おお! さすが木神先輩! このまま行きますよ!」
……なんで言音、こんな余裕そうな表情してるんだ……?
「――ここです!」
なんか屋外に出た。
目の前には、なんかでっかい水槽みたいなやつがある。
でも蓋がない。
その水槽みたいなやつが中心にあって、それを囲むように座る場所がまわりにあった。
「あ、おせーぞー!」
最前列に座ってる総一朗。
湊亜の隣に座ってる。
嬉しそう。
「本当だよ」
総一朗の隣に座ってる柚斗が言ってくる。
……?
なんでこいつがここにいるの?
「お前らさぁ、なんで遠回りしたんだ? あのときカメとかいる方向に行ったら一瞬だったのに」
……そうなの?
俺、無駄に走らされたの?
「天太、こっち」
咲羅が言ってくれる。
咲羅の隣の席が空いてた。
「早く座んな?」
……やっと座れる……。
作者がいろいろあって、今週の投稿はできないかもしれません。本当にすみません。