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第85話 言音と湊亜

※途中から三人称視点になります

 いつも通り弁当食べ終わった。

 いつも通り大量の弁当だった。

 いつも通り女子生徒に囲まれた。


 「天太くん、人気だったね」


 吐き気を我慢してる俺に、湊亜が話しかけてくる。


 「一緒にお弁当食べようと思ってたけど、天太くん囲まれてて行けなかったよ」

 「来ればよかったのに、湊亜も」

 「いや、なんか言いづらいじゃん? 私まだみんなのことあんまり知らないからさ、話しかけにくいんだよ」

 「逆に湊亜も人気じゃなかったのか? 男子に」

 「んーとね……、一人だけすごく仲良くしてくれた男子がいるんだ」


 へー、誰だろ?


 「なんか『モテるためには!!』って本を持ち歩いてる人」


 『モテるためには!!』……。

 総一朗じゃん。


 2週間くらい前にあいつそんな本読んでたよな?

 総一朗のやつ、早速湊亜に近づこうとしてるのか……。


 「うっひょー! 木神先輩の彼女ですか!?」


 後ろからテンション高い声。

 俺の後ろに、予想通り言音がいた。


 ってか、現実でいるんだ、『うっひょー!』って言う人。


 「白糸先輩くらいかわいいですね! あ、あと鶴崎先輩と同じくらい!」


 ちゃんと実璃のことも忘れてない言音、さすが。


 「えっと……」

 「あ、私、赤木言音です! 木神先輩の後輩ですね!」

 「じゃあ1年生か……」

 「で、で、木神先輩とはどういう関係ですか〜?」

 「今日転入してきたんだ、私」


 湊亜の言葉におおげさに表情を変える言音。

 でも、目が輝いてるのは変わってない。


 「転入生ですか!? 部活、行事管理部がオススメですよ!」

 「まぁ……、考えとく……」

 「この学校、どうですか!? 制服、かわいいですか!?」

 「うん……、結構気に入ったよ」


 言音のペースに追いつけてなさそうな湊亜。


 「じゃ、私は用があるので! またいつか!」


 言音はそう言ってどこかへ走っていった。

 廊下走るんじゃねぇよ……。


 「なんか、面白い人いっぱいいるね、この学校」

 「まぁ……な……」

 「ってか、みんな顔面偏差値高いね」

 「それは知らん」

 「……あ、メール繋ごうよ。そこでも色々話してくれたら嬉しいな」






 「――あの二人、ずっと一緒にいますね……」


 影から天太と湊亜を見てるのは実璃と咲羅。


 「ってか、湊亜ってやつも、完全に天太のこと好きだよね」

 「『も』ってなんですか? 『も』って」

 「そこに触れないで。それより、今は湊亜」

 「確かに夜泉さん、かわいいですもんね」

 「言音といい湊亜といい、なんで急に天太に近づくんだろう……」


 ため息をつく咲羅。

 そこに、一人の女子生徒が近づいた。


 二人はその者を見て、驚きの表情を浮かべる。


 それは、名取真央だったからだ。


 そして、名取真央が放った言葉にも驚いた。


 「こんにちは。白糸さん、鶴崎さん――」


 「――今だけ協力して、夜泉さんを木神天太さんから遠下げることって可能ですか?」

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