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第76話 明日から、本気にさせてやるから

 結果は白組が優勝みたいだ。


 でもそんなことどうでもいい。

 リレーで1位を取れたことがかなり嬉しい。


 これで咲羅にいつも通りの顔で会える。

 もしあれで1位取れなかったら、どんな顔で会えばいいかわからないからな。


 でも肝心の咲羅がどこにいるのかわからない。


 閉会式が終わって解散になった。


 急いで出口のところまで行く。

 ここで咲羅を待とう。


 「天太さん!」


 出ていく人を見ていたら、実璃が俺のところまで来た。

 めっちゃ息を切らしてる。


 「咲羅さんなら……! 校舎裏に……!」


 実璃が校舎裏を指差して言う。


 実璃……、俺と咲羅の会話、聞こえてたのか……?


 「今なら一人です! チャンスですよ!」

 「実璃……」

 「早く行ってください! 誰かが来てしまいます!」

 「お前……」

 「咲羅さんのリストカットを止められるのは天太さんしかいないんです!」


 よく『咲羅がリストカットしてる』ってことを知ってるな。

 実璃ってあのときいたっけ?


 「江島さんの犠牲を無駄にしないでください!」


 そうだ、総一朗だ。

 怪我までして俺のことを助けてくれた。


 俺は実璃に礼を言ってから校舎裏に向かった。


 そこには咲羅がいた。

 独りで校舎を見ている。


 その横顔は、今まで見たことなかった。


 喜んでるようでもなく、悲しんでるようでもない。


 「咲羅!」


 俺は全力で咲羅のところまで走る。

 咲羅は無表情で俺を見る。


 「俺、リレーに勝った……!」

 「うん、そうだね」


 いつもより声のトーンが低い咲羅。


 「だから、約束通り……、自分を表現しろ……」

 「…………」


 咲羅は無言でこっちに向かってくる。

 そして俺に結構近づくと、止まる。


 「……わかったか? 今日から……明日からでいいから……。『本当の自分』を表現しろ」

 「…………」


 まだ黙ってる咲羅。

 俺は何をすればいいんだ……?


 「咲羅――」

 「うるさい」


 咲羅が俺の右頬に掌を当てる。

 微笑んでる咲羅。


 「こういうときはね、お互い黙るところでしょ?」

 「…………」


 今度は俺が黙り込む。


 「ありがと」


 そう言って咲羅は俺から離れた。


 そしてある程度離れたとき、咲羅は振り向いた。


 「明日から、本気にさせてやるから!」


 咲羅はそう言って、出口に向かった。

 俺はしばらくその場に突っ立ってた。


 あれは……、大丈夫なのか……?

 地味にいつもの咲羅と違ったよな……?


 『明日から』って言ってたし。

 明日何されるんだろう……。


 そして今思った。


 俺たちさ、なんか『休憩時間に出し物する』みたいなこと言われたよね?

 それで『隠し事を暴露する』みたいなやつに決まったよね?


 あれやらなかったよね!?

 こっちはなにを言うか準備してたのに……。

 

明日から、本気にさせてやるから!(-д☆)キラッ

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