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第66話 大玉転がし、やってみた

 俺は大玉に触れる。

 意外と硬い。


 これを転がせばいいんだよな。


 なんだよ、みんな難しそうにやってたけど、こんなの余裕で――


 「――!」


 これヤバイ!

 大玉が俺より速く動く!


 俺全然押してないのに、めっちゃ速く転がる!


 大玉のスピードに追いつけない!


 大玉はなぜか急に軌道を変えて、横に転がる。


 なんで前に押したのに、横に転がるの!?

 物理法則無視してない!?


 「……バカじゃねぇの?」


 俺に追いついた赤組の男子。

 こいつも大玉転がしてる。


 赤組の男子はその言葉だけを言って、俺を追い越した。


 なんであんな涼しい顔で転がせるんだろう……。


 ……もしかして、みんな宇宙人なのか!?

 みんな宇宙人で、運動神経がいいのか!


 俺は地球人だから、運動神経が悪い!


 ……ってことは、『地球人は運動神経が悪い』ってことがわかった!


 これはすごい発見だぞ……!


 ――何やってんだ、俺……。

 そんなわけねぇだろ……。


 それより、どうやってこの状況から勝とう……。


 負けは嫌だな。

 咲羅と実璃に申し訳ない。


 咲羅に関しては、あんな作戦考えたくらいだからな……。


 インドア陰キャの俺は、運動神経はダメだ。

 だから、()を使おう。


 インドア陰キャは頭の回転が早い、らしい。


 それを活かして絶対に勝ってやる……!


 でもどうすればいいんだ?


 ……うん、思いつかない!

 もう考えても無駄だ!


 こんなことに頭使うくらいなら、別の競技で頑張ったほうがいい!


 「天太ー! 何負けてんのー!」


 観客席のほうから声がする。

 姉ちゃんの声だ。


 俺は大玉を転がしながら観客席にいる姉ちゃんを見る。

 来てたんだ……、姉ちゃん……。


 「情けないねー!」

 「うるせぇ! インドア陰キャは無理なんだよ!」

 「頭使ってー」


 使おうと努力はした!

 努力しても無理だった!


 「ルール説明! 聞いてた!?」

 「はぁ!?」

 「ルール! 『大玉を転がし続けなければいけない』なんて言われてないよー!」


 ……は?

 何言ってんだ……?


 姉ちゃん、もっとわりやすく――


 ――!

 わかった!


 『大玉を転がし続けなくてもいい』ってことか!

 ってことは、『ずっと手を触れ続けなくていい』!


 ナイス姉ちゃん!


 俺は大玉を、校庭の端っこのほうに向かって本気で蹴る。


 大玉は狙ったところまで転がった。


 俺は全力でそこまで走る。


 大玉を転がしてないぶん、みんなより速い。


 そして大玉まで着いたら、次の走者がいるところに向かって本気で蹴る。


 大玉はすぐにその走者のところに行った。


 ……1位だ……!

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