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第65話 大玉転がしが始まった

 大玉転がしが始まった。

 白組がめっちゃ弱い。


 正直、ここから勝てる未来が見えない。


 まぁ、一つくらい捨てても勝てるだろ。


 「……なんか白組、めっちゃ弱くね?」


 総一朗が言う。

 俺の隣に並んでたはずの総一朗が、気づけば結構前の方にいる。


 確かに、なんで白組こんな弱いんだ?

 俺以外のやつで、俺並みに運動神経が悪いやつがいるのか?


 「なぁ、なんでこんな弱いんだ?」


 海川柚斗が前を見たまま俺に訊いてくる。

 そんなの俺が一番知りたいよ。


 ……あ、次実璃だ。

 なんかめっちゃやる気すごい。


 実璃の隣に立ってるのは……。

 ……あ、名取だ。


 白組の大玉と赤組の大玉がほぼ同時に到着する。

 そしてほぼ同時に実璃と名取がそれぞれの組の大玉を転がし始める。


 これは勝ちたいな……、名取に。


 「名取と鶴崎か……。相性が悪いな……」


 つぶやく海川柚斗。

 相性が悪い?


 「どういうことだ?」

 「名取の運動神経は平均くらいだ。それだけなら鶴崎が名取に勝てるかもしれない。だけど、あいつは『言葉』の威力がすごい」


 言葉の威力?

 思いっきり叫ぶと、めっちゃうるさいみたいなやつ?


 「相手を挑発するのだけは上手いんだよな……。しかも普通に嘘ついて、相手を本気で悲しませたり本気で怒らせたりする」


 うわ、ひど。

 嘘ついて悲しませるの?

 ひどすぎるだろ。


 「鶴崎はそういうの弱いだろ? 特にお前の事言われると何も考えられなくなる」


 そうなの?

 それは全然知らなかった。


 実璃、俺のことになると何も考えられなくなるの?

 確かに、会ったばっかのときの実璃は何考えてるかわからなかったけど。


 突然俺の家に来たもんな……。

 あれはすごかった。


 「……お、鶴崎勝ってんじゃん」


 え?

 確かに実璃のほうが微妙に勝ってる。


 そして、名取がなんか口パクパク開けてる。

 なんか実璃に話しかけてるみたい。


 でも実璃、全然名取の言ってること聞いてないみたい。


 大玉転がすのに一生懸命になってる。


 ……なんかいいな。

 物事に一生懸命になれるって。


 「鶴崎、あいつ意外とやれるんだな」

 「実璃は結構すげぇぞ? 夜中に俺の家に来るくらいだし」

 「……お前、ストーカーされてんのか?」

 「実璃がそんなことするわけねぇだろ」

 「でもお前の家まで来たんだろ? なんでお前の家の場所知ってるんだよ」

 「『咲羅から聞いた』って言ってた気がする」


 うん、確かにそうだ。

 そんな会話をしていたら、次が海川柚斗になった。


 順番回ってくるの早……。


 海川柚斗は大玉を転がす。


 次が俺か……。

実璃すごい!

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