第56話 体育祭の組
「――で、お前は女、しかも美少女を家に入れたのか」
翌日。
総一朗がなんかまた言ってくる。
なぜか知らないけど、咲羅と実璃が俺の家に来たことを知ってるらしい。
「姉ちゃんに会いたいって言われたから」
「お前の姉ちゃん、か。女に恵まれてんな、お前は」
「俺の意思じゃない」
「今日も美少女二人と一緒に登校したんだろ? いいよな、モテモテで」
いや、結構ひどいよ、モテモテは。
めっちゃ弁当渡されるし。
ストーカーされそうになるし。
独りでいたいときも独りにさせてくれないし。
……あ、あと体育祭の組ってどうなるのか訊いてみよ。
「なぁ、総一朗。体育祭の組分けってどうなるんだ? みんな『去年と同じように』って言ってるけど……、去年がわかんなくて……」
「仕方ねぇよ、去年の話わからなくても。……出席番号で分けるんだ、赤組か青組か白組か」
? 出席番号?
どうやって出席番号で分けるの?
「3で割って余りが1なら青組、余りが2なら白組、余りがなければ赤組だ」
「それだと赤組だけ人数が極端に少ないってこととかにならないか?」
「俺もそう思うけど、先生いわく『それは運命だから諦めろ』だって」
いやいや、諦めきれないでしょ。
「わかったか?」
「ああ、ありがとな」
「……だからお前はモテんだよ……」
は?
「自覚ねぇのか? 鏡見てみろ」
「いや、なんでだよ」
「礼言うときの顔、めっちゃいい」
? 何言ってんだ、こいつは。
礼言うときも、何してるときも、顔なんて変わんねぇだろ。
「それより、何番だっけ? 天太の出席番号」
「5番だな」
「じゃ、白組だな」
マジか……。
そんなにがっかりすることじゃねぇけど。
そして、総一朗は赤組か……。
分かれたくなかったな、総一朗と。
咲羅と実璃、あと海川柚斗は何組だ?
海川柚斗はあんまり気にならないけど。
ま、訊いてみるか。
ちょうどそこにいるし。
「なぁ、お前何組だ?」
「白組だ。わからねぇのか?」
「当たり前だろ。誰が他人の出席番号なんて覚えてんだよ」
「お前の友達、江島総一朗の出席番号はわかるよな?」
「ああ、3番だ」
「『え』の一個前は『う』だろ? だから俺は2番だ」
あ、そっか。
考えればわかってたかもしれない。
あと咲羅と実璃に訊くか。
「私は青組だよ?」
昼休み、弁当食ってるついでに咲羅に訊いた。
咲羅は青組、つまり同じじゃない。
「実璃は?」
「私は白組です」
お、実璃と一緒だ。
なんかすごい安心感。