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第5話 帰り道の質問

 「木神くんってさ、どこら辺に住んでるの?」


 帰りも女子生徒たちがついてきた。

 正直めっちゃウザい。


 独りで帰りたいのに……。


 それより質問……。

 これって答えていいやつなのか……?


 教えたら何かやられそうなんだけど……。


 「それ、個人情報だから訊かない方がいいよ」


 後ろから声。

 この声……。


 振り向くと、そこには白糸咲羅がいた。


 「え! あ! そっか! そうだよね! ごめんね!」


 質問してきた女子生徒は必死に俺に謝る。

 ついでに『からってごめん』とか言ってくれないかな……?


 「ってかさ、なんで咲羅がここにいるの? そもそもいつから私たちの話聞いてたの?」


 別の女子生徒が咲羅に質問する。


 確かに、なんでここで白糸咲羅に会うんだろう……。

 普段は会わないのに……。


 「たまたまここ通っただけ」

 「へー、今日は独りなんだ」

 「独りの気分」

 「……あれ? この前『独りで帰るのは嫌だ』とか言ってなかったっけ?」

 「言ってない」


 うわ……マジでツンデレっぽい……。

 でも俺のイメージしてたやつじゃないな……。


 俺のイメージだと、こういうとき『べ、別に……! いいじゃん! 私だって独りがいい気分があるんだから!』とか言ってそうなんだけどな……。


 ……そういうのはアニメとかでしかないか……。

 理想と現実、だいぶ違うな。


 それと、なんか怖い。

 普通に反論してるから『え、俺が悪いの?』って感じになる。


 「……本当は木神くんと一緒に帰りたいんでしょ」

 「違う」


 ! これだけ反応が速い!

 やっぱりツンデレなのかな……?


 「ただ木神とメール交換したいだけ」


 あ、俺とメール繋ぎたいの?

 俺なんかと?


 まぁ、メール繋ぐくらいだったら――


 「メール繋ぎたいだけなの?」

 「うん」

 「じゃあメール繋ぐためにここまで来たんだ」

 「うん」

 「あれ? おかしいと思うのは私だけかな? さっき『たまたまここ通った』って言ってなかった? 矛盾してるね」

 「!」


 白糸咲羅がここで初めて表情を変える。


 ……本当だ……矛盾してる……。

 でもそれのおかげでわかった。


 急に表情を変える白糸咲羅、そして少しずつ顔が赤くなっていく白糸咲羅。

 これはツンデレ確定だ!


 「そんな隠さなくていいから。みんなで一緒に帰ればいいじゃん」


 一人の女子生徒が白糸咲羅の手を握ろうとする。

 しかし白糸咲羅はそれを無視して俺のところまで来る。


 そして俺の手をギュッと握りしめ、走り出す。

 俺はそれに引っ張られるように走った。


 なんなんだよ……急に……。

白糸咲羅……

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