第46話 告白したいことがある?
「今日、家にいませんでしたよね?」
学校に着いて色々と準備をしていると、実璃が話しかけてきた。
「え?」
「待っていたんですけど……、時間になっても全然出てこなかったので」
……あ、こいつに『咲羅の家に泊まる』ってこと言ってなかった。
ってことは、いつも通り待っててくれたのかな? 家の前で。
なんか申し訳ない……。
「わ、悪い。昨日――ってか今日は家にいなかったんだ」
「そうなんですか……」
「……どれくらい待った?」
「時計を見てないから具体的にはわかりませんけど、20分ほどでしょうか」
20分家の前で待っててくれたんだ。
嬉しいけど。
だけどさ、ピンポンくらいは押そうよ。
そうすれば母さんか姉ちゃんが『天太は家にいないよ』くらい言ってくれるから。
「ピンポン押なかったのか?」
「はい」
「なんで?」
「だって……、天太さん以外の人が出たら話せないじゃないですか……」
俺以外の人と話せないの!?
極度のコミュ障!?
確かにこいつ、俺と初めて会ったときは声とか小さかったな……。
「……それと、体育祭の日、一緒に行きませんか……?」
へ?
体育祭?
「み、実璃? 体育祭って?」
「3週間後にあるじゃないですか」
そうなの?
初耳なんだけど。
「……知らないんですか?」
「あ、ああ……」
「先生の話くらい聞けよな?」
俺の後ろから男子生徒の声。
振り向くと、一人の男子生徒がいた。
……なんか、つい最近見た気がする。
「……誰だ、お前」
「……一応同じクラスなんだけどなー……。お前、白糸咲羅や鶴崎実璃、江島総一朗は覚えてるくせに、俺の名前は覚えてねぇのかよ」
だって興味ないもん。
咲羅の名前を知ってたのは咲羅が有名人だったからだし。
……でも名取の名前は知らなかったな……。
咲羅より告白された回数多いのに。
「俺だよ、名前本当に覚えてねぇのか?」
「ああ、お前の名前なんて知らん」
「海川柚斗だ。本当に覚えてねぇか?」
ウミカワ……ユウト……。
……あ!
思い出した!
『ユウ』って読むのに『柚』って書くやつだ!
見たことある!
「やっと思い出したか? もっとクラスメートのこと見ようぜ?」
「ああ、やっと思い出した。……で、何の用だ?」
「ああ、告白してぇことがあるんだ。めっちゃお前に言いたいことだ。昼休み、屋上で待ってるぜ。一人で来い」
海川柚斗は表情を変えないで、教室から出ていった。
「こ、告白……されるんですか……?」
「みたいだな……」
告白って……。