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第43話 風呂、先入る?

 「で、先に入る?」


 咲羅がまた訊いてくる。

 マジでどうしよう……。


 「いや、俺は……別にいいや……」

 「いいって、何が?」

 「だから……風呂に入るの……」

 「は?」


 いや、こっちが『は?』なんだけど。


 「お前さ――」

 「名前で呼んでって言ったよね?」


 マジかよ……。

 ここでも……?


 「咲羅、一応俺も男だ。男をそんな簡単に自分の家を自由に移動させちゃダメだ」

 「だって泊まるのに『お風呂入る』って行動大事じゃん」

 「大事だけど。でもな、風呂って裸で入るところだぞ? そんなところに男を入れんな」

 「天太なら別にいいよ」


 ああ、もうダメだ。

 何言ってもダメだ……。


 「俺はお前の恋人でも家族でもねぇんだよ」

 「……でも私のこと好きって言ってくれたじゃん」

 「あれは……」


 これはなんも反論できない……。

 クソ……名取のやつ……。


 「『友達として好き』ってこと」

 「友達ならお風呂貸さないと」


 咲羅、なんでそんなに反論できるんだ。

 ディベート得意そう。


 「天太はさ、逆に嫌なの?」

 「え?」

 「私の家で自由に動き回るの、嫌なの?」


 そんなわけじゃねぇけど……。


 「嫌じゃねぇよ」

 「じゃ、入って。汗かいたでしょ? 着替えはお父さんのがあるから。バスタオルとかは用意しとくね」


 咲羅はそう言ってどこかに行った。

 俺が反論するの下手すぎるだけか、咲羅が上手すぎるだけか……。


 俺はそう思いながら脱衣所に向かった。


 それにしても咲羅の家、落ち着くな……。

 ネコ臭くないし。


 ……あ、別にミミが臭いってわけじゃないよ?

 ミミは大切な家族、俺のことをわかってくれる生き物。


 ミミ大好き。


 「天太、ここ!」


 咲羅が横にあるドアから出てくる。

 手にはバスタオルと服を持っている。


 脱衣所に服あるの……?


 まぁ、いいや。

 借りるんだし。


 「シャワーの使い方とかわかる?」

 「わかる、多分」

 「結構複雑だよ?」


 複雑なんだ。


 「大丈夫、借りるな」

 「…………」


 咲羅は黙ってどこかに行く。

 俺なんかヤバイこと言った……?


 とりあえず入ろ、風呂に。


 咲羅の家の風呂、普通にいい。

 ゆったりできる。


 俺の家とは違う。


 なぜか知らないけど風呂にまでミミが来る。

 ネコって風呂好きだったっけ……?


 シャンプーとかも結構いいやつ。

 めっちゃ金木犀のにおいする。


 咲羅の髪の匂いだ。


 ……なんか変態発言になってしまった。


 あれはたまたま嗅いじゃっただけだからね?


 そんなふうにしながら、風呂に入ってシャワーを浴びた。

 普通に気持ちよかった。

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