第40話 プリクラ写真、公開された
「天太天太天太!」
いつも通りの時間に、いつも通りの場所で、いつも通り総一朗の声がする。
「今度はなんだ?」
「お前! これ!」
総一朗が持っているスマホの画面を俺に見せる。
それには、あの写真が映っていた。
「なっ、なんでお前が持ってるんだよ!」
「お前……プリクラ撮ったのか……」
それは昨日の出来事――
「――あ、出てきた!」
プリクラの台から出た俺たち。
外で写真が出てくるのを待っている。
そして初プリクラの感想。
めっちゃ恥ずかしい!
マジでウサギさんポーズさせられたんだけど!
「…………」
そして写真を見て黙る咲羅!
何があったの!?
「どうしたんですか?」
実璃も写真を見る。
その瞬間に爆笑する咲羅。
それに少し遅れて爆笑する実璃。
「あ、天太! これ……!」
咲羅が俺に写真を見せる。
! なんだこれ……!
なんで俺だけ加工されてるの!?
めっちゃ肌白いし、目デカイし、唇赤いし!
それよりなんで咲羅と実璃は加工されてないの!?
「あ、私一応写真撮っとくね!」
咲羅がスマホを出し、その写真を撮る。
撮る価値ある!?
「しかも咲羅さんと鶴崎さんと一緒に……。それと、なんでお前だけ加工されてんだ?」
「そんなのこっちが訊きてぇよ! それよりなんでお前がその写真持ってるんだよ!」
「多分学年全員が持ってるぜ?」
「え……」
学年全員……?
それってかなりヤバイやつじゃん!
どうしようどうしよう!
絶対何か言われる!
「そ、総一朗! その写真、どうやってゲットした!?」
「なんか送られた。『篠釣カムリ』ってやつから」
「いや、誰だよ!?」
「さぁ?」
お前もわかんねぇのかよ!
「咲羅さんとかなら知ってんじゃね?」
「! 確かに!」
「行ってみれば?」
「ああ!」
俺は走って教室から出ていく。
咲羅は……屋上にいるか……?
俺はそのまま屋上に向かって走った。
――いない!
屋上のどこにもいない!
なんでだよ!
……って、普通いないのか……。
そう残念に思っていたら、俺のスマホが震える。
またあの番号だ。
「なんだ?」
『元気か?』
いつものヘリウムガスの声。
「元気じゃねぇよ。今大変なんだ」
『へー、写真のせいか?』
「ああ、その――」
――ちょっと待て……。
なんでこいつが写真のことを知ってる……?
「なんで写真のことを知ってる?」
『あれを公開したのは俺だからな』
! 公開した……!
「お前……マジで言ってるのか……?」
『ああ、嘘なんてつかねぇよ。じゃ、頑張れよ』
そう言われて、電話は切れた。
マジでアイツは何がしたいんだ……?
俺から名取をまもりたいのか、それとも俺を苦しめたいのか。
そもそもアイツは誰なんだ……?
本当にすごいタイミングで来ますよね、電話。