第39話 プリクラへ
うん、こいつらヤバイ。
銃持つとヤバイ。
無言でゾンビ撃ち続ける。
しかも全弾ゾンビの頭に当たってる。
「あー、ストレス発散になりましたね!」
「久々に気持ちよくなった!」
うわぁ……、ゾンビ殺して『気持ちいい』……。
まぁ、確かに快感はあったけど。
「じゃ、次、アレやりましょうか」
「そうだね、アレやるか」
なに『アレ』って……。
またガンゲームかな……?
「天太、行くよ」
咲羅が俺の手をつかんで歩き出す。
奥にガンゲームが見える……。
またガンゲームか……。
別に楽しいからいいけど。
そう思って歩いていた。
でも、ガンゲームのところで止まらない。
そのまま歩いている。
「? 咲羅……? これやるんじゃないのか……?」
「え? これ? やりたい?」
「いや、別に……。お前らのことだから、これやるのかなって……」
「これは本当に良くないゲームなんですよ。『確定ダメージ』ってやつがあって、敵が画面外から攻撃してくるんですよ」
なにそれ……、画面外から攻撃……?
「じゃあ何やるんだよ?」
「え? あれ」
咲羅が指を差す。
俺はその指先にあるものを見え。
プリクラだ。
「よし、じゃあ気合張って撮りますか!」
「いや、お前ら、プリクラ!? ……あ、お前ら二人で撮るのか?」
「え? 天太さんも一緒ですよ?」
なんで!?
プリクラ!?
変な写真撮られるやつだよな!?
『次は、ウサギさんポーズー!』とか言われて変なポーズを強要されて、変な風に加工されるやつだよね!?
姉ちゃんに教わったぞ!?
『天太はプリクラやめたほうがいいよ……?』って!
「大丈夫大丈夫! そんなに怖くないよ?」
逆に怖いプリクラあるの!?
「そうですよ? 幸せを感じますよ?」
幸せを感じるんだ!?
まぁ、人の幸せを感じる瞬間に、なんか言うつもりはないけど……。
「早く入ろうー!」
咲羅が俺の腕を強引に引っ張り、プリクラの台の中に入る。
マジでやるのかよ……。
そうだ! 姉ちゃんに助けを求めよう!
「咲羅、ちょっとトイレ行ってくる!」
俺は適当にそう言い、トイレに向かう。
男子トイレに入り、スマホで姉ちゃんにメールを送る。
『姉ちゃん、プリクラ撮ろうとしてるんだけど、どうすればいい?』
――って、何やってんだよ……俺……。
今送っても、そんなすぐに既読がつくわけ――
『え、マジで撮るの!?』
返信はやっ!
送った瞬間既読したの!?
めっちゃ暇人じゃん!
『ああ! なんかそんな流れになって』
『ドヤ顔すればいいと思う!』
そうなの!?
ドヤ顔すればいいの!?
まぁ、姉ちゃんが言うんだ! 間違いない!
俺はスマホをポケットの中にしまい、咲羅たちのところに戻る。
「天太さんも戻ってきたことですし、やっちゃいましょう!」
よし、ドヤ顔するぞ……!