第38話 一つ目、終わり
「面白かったですね!」
ゲームが終わり、実璃が笑いながら俺を見る。
俺の感想は『疲れた』。
音デカいし、常にゾンビ来るからずっと撃ち続けなきゃいけないし、怖いし。
咲羅なんて俺の横でずっと叫んでたし。
ちなみに、コンテニューはしなかった。
実璃が強すぎる。
無言、無表情で撃ち続けるから、ゾンビより実璃の方が怖い。
銃持つと人が変わるタイプだ。
「どうでしたか? 天太さん」
「まぁ、怖かったけど面白かったな」
「面白かった……? ただただ怖かったんだけど……」
確かに怖かったな。
異常なくらい怖かった。
こんなゲーム、ゲーセンなんかに置いていいのか……?
18歳未満禁止のゲーセンとかに置いたほうがいいんじゃないか……?
そんなことを言いながら俺たちは台から出る。
涼しい空気だ!
「――次、これやりましょうよ!」
実璃が俺の腕を握り、横を指で差す。
そこを見ると、また台のゲームがある。
見るからにゾンビゲーム。
今さっきやったやつとは違って、そんなに怖くなさそう。
「咲羅さんはこういうホラーゲームは無理で――」
「これならいける!」
実璃の声を遮って、咲羅が言う。
今度は結構元気な声だ。
「これなら得意!」
「私も得意ですよ!」
「あ、じゃあ俺はどっかでコーヒーでも飲んで――」
俺が二人から歩こうとすると、咲羅と実璃が俺の手をつかむ。
「どこ行くの?」
「え、いや、ちょっとどっかに……」
「あの中、結構涼しいですよ? 行きましょうよ」
いや、怖い怖い!
お前ら目がヤバイ!
さっきのより怖いぞ!
「わ、わかったから! その目をやめてくれ!」
「よし! じゃあ行こっか!」
「……でも、あれって二人用だろ? 俺は――」
「私と咲羅さんの間に入ってください!」
……マジか……。
女二人の間に入るのか……。
大丈夫かな……?
『今触られた! セクハラ!』とか言われないかな……?
「あ、天太さんと咲羅さんでやります?」
「いや、俺は見てるだけでいいよ……」
俺たちは台の中に入る。
さっきと比べて全然怖くなさそう。
さっそく、二人は前においてある銃をとる。
これもマシンガンみたいな形だ。
「――咲羅さん、やり込んでますね」
実璃が唐突に喋る。
やり込んでる……?
「やり込むっていうほどじゃないけど。実璃もやり込んでるみたいだね」
なんでわかるの!?
今の動作でわかることある!?
なんもわかんなかったよ!?
「な、なぁ……、なんでお前ら……やり込んでるって……」
「銃の取り方見ればわかるよ。さ、やるよ」
咲羅は銃をかまえた。
まさかの二人とも上手い!
作者も結構ゲーセンのガンゲームには自信あります!(中学生なんだから勉強しろ)