第37話 ゲーセンへ
「あ、これやりましょうよ!」
実璃がとあるゲームを指で差す。
いつもより元気だな……。
ちなみにそのゲームは、箱型でガンゲームで、ゾンビゲーム……。
この表現わかる?
「え、これやるの!?」
「はい!」
咲羅は俺の前でかたまる。
苦手なのかな……ホラーゲーム………。
「あ、天太はこういうの苦手だよね!?」
「さぁ? やったことないし」
「いや、見た目が完全に『ホラーゲーム無理な人』って感じじゃん!」
「見た目で判断するのはよくないですよ」
お、実璃、いいこと言うな。
マジでよくないよな、見た目で判断。
「……じゃあ……みんなやるの……?」
「まぁ……やってみたいな……」
「ストレス発散にもなりますよ!」
ホラーゲームってストレス発散になるのか……。
楽しそうだな。
「……って、これ二人用じゃん!」
台の中には銃の形をしたおもちゃみたいなやつが二つしかない。
そしてめっちゃ怖そう。
「え!? マジ!? じゃあ私外で待ってる!」
「……咲羅さん……こういうゲームやらないんですか?」
「1回やったことあるけど……、これは怖すぎる……」
咲羅が怖いっていうことはそうとう怖いのかな?
「じゃあ私と天太さんでやりますね。咲羅さんは私と天太さんの間に座ればいいんじゃないですか?」
「……!」
あることに気づく咲羅。
何に気づいたのかな……?
「うん! そうする!」
「はい! 天太さん、百円玉って何枚ありますか?」
「百円玉?」
俺は財布を出し、中を確認する。
……30枚くらいかな……?
「30枚だ」
「よく財布の中にそんな枚数あるね……」
「普段使わねぇからな」
「――あ、このゲーム、結構怖いので気をつけてくださいね」
実璃がさらっと言って、財布から百円玉を2枚出す。
プレイで200円、コンテニューで100円のやつかな?
結構怖いのか……。
ホラーゲームとかやったことないから、どの程度怖いのかわからないんだよな……。
俺も百円玉を2枚出した。
「お、始まりましたね!」
実璃が銃を握って言う。
ちなみにマシンガンの形をした銃。
意外と軽い。
そして後ろにあるスピーカーの音が大きい!
『ここから出なきゃ』とかいう主人公の声がデカい!
そして息遣いとかめっちゃリアル!
後ろについてる扇風機みたいなやつが回って俺の首に当たる!
そんなことを思っていたら、画面上で誰かがゆっくりと近づいてくる。
……絶対ゾンビじゃん……。
暗くて顔はよく見えないし……、なんで襲いかかって来ないんだ……?
覚悟はできてるから早く襲えよ……。
「さぁ、来ますよ!」
実璃が言い終えると同時に、スピーカーから『グアァァァ!』っていう化け物の声がする。
画面ではさっきのゾンビがドアップに……。
そして俺の隣で咲羅が叫んでる。
うん、怖い!
しばらくは恋愛要素なさそうですね……。
すみません……。