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第34話 何部にしたの?

 「で、何部に決めたの?」


 登校中。

 咲羅が俺と並んで歩きながら、訊いてきた。


 そういえば部活決めるって話してたな。


 「えっと……、『行事管理部』にした」

 「「は?」」


 咲羅と実璃が声をそろえる。

 『は?』って言われた……?


 「行事管理部って……、行事考えるやつ?」

 「ああ、楽しそうだし」

 「……どんなことするかわかってます?」

 「いや、なんも知らない」

 「ええ……」


 そんな引く……?


 「体育祭とか、学園祭とか、そういうの考えるんじゃないよ?」

 「え、違うの?」

 「新しい行事つくるんです。去年は学校全体でお化け屋敷にしてましたよね? 覚えてます?」

 「…………」


 去年か……。

 去年の話は何もできない……。


 「? 覚えてませんか? 咲羅さんは覚えてますか?」

 「…………」


 咲羅も黙り込み、実璃と目を合わせようとしない。


 「? 咲羅さ――」

 「実璃」


 咲羅は実璃と目を合わせる。

 無理して笑ってるように見える。


 「去年の話は……、ここではやめて」

 「……はい……」


 咲羅……?

 お前も……?


 お前に俺みたいな『過去』があるとは思えないぞ……?


 「……すみません……。……!」


 突然実璃が振り向く。

 俺も反射的に振り向いた。


 そこには、名取がいた。


 名取は相変わらずの笑みを浮かべながらこちらに向かってくる。


 「おはようございます、木神天太さん」

 「名取……」

 「奇遇ですね、木神天太さんも登校中ですか? 私もなんです。一緒に行きましょうよ」

 「『奇遇』か……、俺にはそう見えないけどな」

 「アナタにそう見えなくても、私は偶然アナタに会ったのです。それより、早く行きましょうよ」


 こいつ……マジで俺と行く気か……。

 最悪だな……。


 「ねぇ、天太は『一緒に行く』とは言ってないよ?」


 俺と名取の間に咲羅が入る。

 それに続いて実璃も俺と名取の間に入る。


 「むしろ、『アナタと一緒に行くのは嫌だ』という顔してますね」

 「あら? いいではありませんか。私は『一緒に登校したい』と言っているのですよ?」

 「そこが嫌いなんだよ、その自己中心的な考えが」

 「別に白糸さんに『私のどこが嫌いなんですか?』とは訊いてませんよ?」


 言ったら言い返してくる……。

 俺も名取、苦手だな……。


 「では、行きましょう」


 名取はそう言って、俺の前を歩き出す。

 俺は咲羅と実璃と目を合わせる。


 そしてため息をついてから、名取の後を追った。

毎回すごいタイミングで出てくるな……名取……。

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