第31話 咲羅と再会
……どうしよう……。
まだメールが返ってこない……。
既読すらついてない……。
もう1日経ったのに……。
今日は咲羅、学校に来てくれるかな……?
って、もう家出る時間……。
実璃が外で待っててくれてるし、早く行くか。
俺はリュックを背負い、玄関に向かう。
ドアを開けると、いつも通り実璃がいた。
「おはようございます!」
「ああ……おはよう……」
「寝不足ですか? また目の下にクマができてますよ?」
そうだよな……。
あんま寝れなかったからな……。
「大丈夫ですか? 無理そうでしたら休んだ方が……」
「いや、大丈夫。じゃ、行こっか」
俺は歩き出す。
実璃は俺の隣で歩く。
咲羅がいないってことに違和感しかない。
いつもは咲羅が変なこと言って、実璃に何かツッコまれて、俺はそれを見て笑ってる。
そんな生活、もうできないのかな……?
「おはよ! 天太!」
教室に入った瞬間、総一朗が大声で言う。
「知らせがあるぜ!」
「なんだよ……朝からそんな声出して……」
「今日、咲羅さんが来るみたいだぜ!」
! マジか!
咲羅が学校に来る……!?
「いつ、いつから来るんだ!?」
「お前も大きい声出してるじゃねぇかよ……。……咲羅さん、いつも通りの時間に来るらしい」
「いつも通りって……、ってことは、朝から来るってことか?」
「ああ、そろそろ来ると思う」
よし!
これでやっと言える!
「よかったですね」
……え?
後ろから実璃の声がする。
振り向くと、満足そうに笑っている実璃。
「これで咲羅さんに言えますね」
「実璃……。知ってるのか……?」
「はい! 天太さんのことで知らないことなんてないに決まってるじゃないですか!」
それはそれで怖いけどな……。
まぁ、そこはツッコまないでおこう。
「どこで話すんですか? なるべく二人きりになるととろが良いと思うんですけど……」
「二人きりか……」
「屋上とかどうだ?」
屋上か……。
名取が来そうで怖いな……。
「? 天太と実璃がいるのは一緒なのはわかるけど、なんで江島まで?」
後ろから本人の声。
……ちなみに『江島』っていうのは総一朗の名字。
おそるおそる振り向く。
いつも通りの表情の咲羅がいた。
特に何か怒ってたりしてそうな雰囲気じゃねぇな……。
いやいや、本当はめっちゃ怒ってるかもしれない。
「あの、咲羅……」
「なに?」
「えっと……。……あ、あとで屋上に来てくれないか?」
「……わかった」
一瞬だけ目を細くする咲羅。
やっぱり何かありそう……。
早く謝らなきゃ……。
総一朗の名字!
江島!
総一朗のこと好きですか?