第28話 落ち込む
「……どした?」
教室。
今度は総一朗の声。
俺は総一朗の顔を見る。
「元気ねぇじゃねぇかよ」
「ちょっとな……」
「……咲羅さんにフラレたか?」
「一部そうかも」
「マジかよ……」
マジだよ。
どんな顔して咲羅に会えばいいんだよ……。
一応メールはしたんだけどな……。
『さっきはごめん。どこかで話せない?』って。
未読スルーだし。
マジでフラレた……。
せっかく話せる仲間が増えたのに……。
「まぁ、人間関係なんてそんな上手くいくもんじゃないから。……今日の帰り、一緒にラーメン食いに行こうぜ。金は俺が出すから」
「いいよ……。お前だって俺のこと『咲羅と話すなんて裏切り者!』みたいな感じに言ってただろ……」
「だって本当にそう思ってたし。でもさすがに落ち込んでる姿見ると心配する」
……総一朗……。
普通に友達って感じだな……。
俺にとってはどんなに嬉しいことか……。
友達がいるって。
「あ、そうだ! 俺の弁当、少しだけ食うか? 今日唐揚げなんだ」
「悪いけど弁当はいらない」
「……そっか、お前には弁当をつくってくれるファンがいるからな」
そうだよ……本当に最悪だよ……。
今日は何人分の弁当が来るかな……?
咲羅は弁当つくってきてくれたのかな……?
「――え、咲羅! 帰るの!?」
女子生徒の声が響く。
ってか今なんて……?
廊下から聞こえた。
俺は急いで廊下に出る。
バッグを肩にかけている咲羅がいた。
早退か……!
「咲羅!」
俺は叫ぶが、咲羅は俺に顔を向けない。
聞こえてないのか……。
咲羅のところに行こうとしても、咲羅の周りに人がいすぎて近寄れない。
咲羅はそのまま階段を降りていった。
「クソがよ……!」
どうしよう……。
咲羅に話しかけるタイミングが完全になくなった……!
今日はもう諦めるしかないのか……。
「――あ、いたいた!」
後ろから声がする。
担任の先生だ。
「木神! お前、最近白糸と仲がいいみたいだな」
「仲がいいっていうか……。よく話しますね」
「そうか! 白糸が早退しちまったから、その分のプリントとか、白糸の家まで届けてくれねぇか? じゃ、またあとで」
先生はそう言ってどこかへ行った。
……でもめっちゃいい!
これで咲羅と二人で話せる!
絶対に言おう……。
「よかったじゃねぇかよ」
「ああ、ナイスタイミングだ」
「これで咲羅さんと話せるな」
「ああ!」
でも一つ不思議に思った。
咲羅の家ってどこ!?