第260話 夜の学校へ 〜1〜
『サプライズで咲羅の家まで行こう』ってことになったけど――
――咲羅の家の場所を覚えてない!
だから行けない!
もう諦めて現地集合することにした。
ってか、ドア開けたら家の前に俺がいるのとか怖いよね? 咲羅にとって。
『なんでこいつ、こんなところにいるの!?』ってなって。
だから逆によかったのかも。
一応10分前に集合場所に着いたけど、咲羅はもうそこにいた。
「咲羅、お待たせ」
スマホいじってる咲羅にそう言いながら近づくと、咲羅はゆっくりと視線を俺にうつす。
「そんな待ってないから大丈夫」
咲羅はポケットにスマホをしまって、校舎を見る。
もちろん、電気は点いてない。
「それと、こんな時間に一人で出歩いて大丈夫だった?」
「天太こそ」
「俺は暗くて静かなとこ好きだから大丈夫だけど……」
「へー。じゃあ楽しめそうだね」
? なにを?
英語の構造で言うと、目的語が欠けてるぞ?
「それじゃ、行こ」
咲羅は関係者用の、校門の横にある小さいドアをなんの抵抗もなしに開ける。
鍵、閉めてないんだ――。
――じゃなくて!
ちょっ、なにやってるの!?
「早く行くよ、見つかったらヤバいし」
いやいや、もうすでにあなたヤバいことしてますよ!?
そう思ってる俺を置いて咲羅は中に入っちゃった。
あいつマジでなにする気?
とりあえず止めよう。
夜中に学校忍び込んで停学とかなったら嫌だし。
うん、俺は咲羅を止めるために中に入るんだ!
……って、名目で俺も中に入った。
正直俺も夜の学校とか興味ある。
いつもは騒がしい学校だけど、暗くて静かな学校とか見てみたいじゃん?
「屋上まで行こ?」
「屋上か……」
「なんか嫌な思い出でも?」
「思い出ならいっぱいあるよ……屋上には……」
本当に色々あったな……。
咲羅と話したり、名取とも話したな、屋上で。
「……止めてくれるかと思ったよ」
咲羅は校舎のドアを開けながらそう言う。
今は俺の顔を見てる。
「『こんな時間に忍び込んだら停学になるかもしれない』って言ってくれるかと思った」
「言おうと思ったよ。ただやめただけ」
「……そっか。ありがと」
なんでお礼言う?
俺なんもしてないよ?
咲羅が中に入ったから俺も中に入る。
中は想像以上に暗かった。
電気が点いてないから当然だけど。
それと、もう一つ思ったことがある。
戸締まりしとけよ!




