第257話 動画を撮ろう 〜2〜
「まず活動場所だろ?」
「活動場所を言っても、その場所なんて誰も行こうとしませんけどねー、こんな『え、そんな場所あったっけ?』って場所」
「それから活動日」
「他の部活と比べて少ないですけどねー」
「あと活動実績も言ったほうがいいな」
「活動実績なんて球技大会しかありませんけどねー」
後ろから聞こえる言音の声を無視しながらノートにいろいろとメモをする。
「部員の数も必要か」
「3人の部活って部活って言うんですかね?」
「……それ以外言うことは……」
「ないです!」
「だよなー!」
たった1行しか書いてないノートを閉じる。
書いたところで意味なかったし。
「……意見、取り敢えず撮ってみるってのは?」
スマホから目を離して言う翔琉。
確かに、取り敢えずやってみるのはいいかも。
案外、活動場所、活動日、活動実績、部員数を言うだけで結構時間かかるかもだから。
問題は誰のスマホで撮るかなんだけど。
「オイラのスマホで撮影はする。動画に映りたくないし」
「そっか、じゃあ翔琉、頼めるか?」
「それじゃあ私と木神先輩で撮ることになりますね!」
翔琉は俺からある程度離れたところに行ってカメラを向け、言音は俺の隣に立つ。
「セリフはどうします? あ、私、活動場所と活動実績言いたいです!」
「じゃあ俺は活動日と部員数だな。どういう順番で言う? 言音と俺が交互に喋るのはわかりにくいと思うし、先に言音が言ってくれるか?」
「え、私でいいんですか? こういうのって先輩が最初にやるものだと思ってたんですけど……」
え、そうなの?
ごめん、俺常識ないからわからない。
「……先輩から先は無理」
カメラを向けたまま翔琉が喋る。
よかった、翔琉も俺に味方してくれてる。
「最初だと、先輩はプレッシャーに耐えられない。棒読みでなに言ってるかわからなくなる」
う……! そうだけど……!
そこまで言わなくていいじゃん!
翔琉の言ってることは正しいけど!
「じゃあ私からやりますね! いやー、野尻先輩がいればこういうのってすぐ終わるんですけどねー!」
野尻先輩、ね……。
卒業しちゃったもんな。
あの人、意外と変なキャラだったけど、俺もあだ名もらってるし、尊敬はしてるから。
ちょっと変な人だったけど。
「……そうだな、野尻先輩のぶんも頑張るぞ」
「おー、木神先輩、カッコいい! さすが新部長!」
「え、俺新部長なの!?」
「当ったり前じゃないですかー! 人生経験は先輩のほうが上ですし!」
そうかもだけど……。
部長って責任重大じゃん。
代わりに言音とか翔琉がやってくれないかな?
作者の資格試験が終わったということで今日から投稿再開! ――といいたいんですが、作者の体調が微妙です。『熱はないけど吐き気はあるー』みたいな感じで。もしかしたら(できるだけ投稿するよう努力しますけど)再び投稿一時中断になるかもです。