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第255話 ちょっと付き合って?

 「それじゃ、みんなありがとね」

 「うう……! もっとみんなとイチャイチャしたかった……!」

 「私も……! みんなとイチャイチャ……!」

 「お父さん! お母さん! いい加減にして!」


 うちの日常を見て苦笑いを浮かべるみんな。

 今は3時くらいだ。

 もちろん午後ね?


 もうやることがなくなったから、これで解散ってことになった。


 みんなが来てくれて楽しかったな。

 ちょっと申し訳ない気はするけど。


 「私、すっごく楽しかったです! またやりましょう!」

 「……そういう冗談は言うもんじゃないぞ、言音」

 「で、では失礼します……」


 言音と翔琉は苦笑しながら逃げるように帰っていった。

 言音に関しては苦笑いじゃなくて心から笑ってた気がするけど。


 咲羅にもお別れ言わなきゃな。

 ……お別れっていうほどのものじゃないけど。


 「咲羅も、ありがとな」

 「うん……」

 「それじゃ、俺はこのまま両親の――」

 「あの、天太」


 咲羅に背中を見せようとしたとに、急に咲羅が俺の袖を掴んだ。


 「ちょっと……付き合って……?」


 ……ん!?

 つつつ、つ、付き合って!?


 え、ここで告白!?

 みんな見てるよ!?


 しかも一番見られちゃいけない父さんがいるよ!?

 しかも急すぎませんかね!?


 「1時間とかでいいから……」


 1時間だけの交際!?

 それレンタル恋人じゃん!


 「おー、よかったじゃん、天太。お父さんとお母さんは私が連れて帰るから、行ってきな?」


 姉ちゃん!?

 え、そんな簡単に受け入れられるの!?

 ってか、どこに『行ってきな』なの!?


 「ちょっと……ついてきて」


 咲羅!?

 どこ行くの!?


 焦ってる俺を無視して咲羅はどんどん歩いていく。


 ちょっ、待ってよ!






 咲羅についていくと、花見スポットのところに来た。

 さっきミミと来たところ。


 それと、俺バカだったわ。

 『付き合って』って、『交際して』って意味じゃないわ。

 バカなのかな? 俺。


 「あのさ、春休みの宿題終わった?」

 「いや、全然……。感想文は終わったとこ」

 「そんな宿題あったっけ?」

 「……あ、いや、ごめん、宿題じゃなかった」

 「だよね」


 感想文は部活のやつだわ。

 どうしよう、俺疲れてるのかな?

 ま、酔ってる父さんと母さんを相手にしたら疲れるか。


 「思い出、つくろうよ」


 ……え?


 「あるじゃん、春休みの思い出、原稿用紙3枚で」

 「そんな宿題あるの……?」

 「あるじゃん。もう、しっかりしてよね……」


 はい、しっかりします……。


 「だからさ、思い出つくろ? どうせ一人じゃ思い出できないでしょ?」

 「そうだな、飼ってるネコと話すことしか思い出できなさそうだし。今日のことは書きたくないし」

 「でしょ? だから手伝ってあげるってこと。いい?」

 「めっちゃ助かる」

 「それじゃ、あとはメールで」


 咲羅はそれだけ言って歩き始めちゃった。

 でもすぐに立ち止まって、俺を見る。


 「今日、結構楽しかったから」


 そう言うと、また歩き始めちゃった。


 ……咲羅、お前はさっき『1時間付き合って』って言ってたけど、1時間も経ってないぞ?

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