第254話 写真を見せよう
早速写真を見せ合うことにした。
まず母さんからだった。
母さんは予想通り、めちゃくちゃな写真だった。
ブレてるし、なにを撮ってるかわからないし。
全体にモザイクかけた感じ。
加工なしでこの写真撮れたのは才能だと思う。
咲羅は普通にいい写真だった。
『おー、綺麗ー』って感じの。
翔琉は反応に困る感じ。
いいとも言えないし、悪いとも言えない。
言音も同じ感じだった。
複数写真撮ったらしいけど、ちゃんと撮れてるのは1枚だけ。
他のやつは花に全く関係ない。
バスの写真だったり、歯医者の写真だったり。
意味わかんなかったけど、父さんは気に入ったみたいで、意味不明な『喜びの父親舞い』ってやつを踊ってる。
さて、次は俺の番か……。
ミミも協力してくれたし、なんとかなるだろ。
一番いいやつを選んで、画面をみんなに見せる。
「……天太……、お前、どうやらカメラの使い方をよく理解してないみたいだな」
え? カメラの使い方?
そんなのシャッターとか押せばいいだけじゃないの?
「ま、天太は論外として、次は遥海」
「ちょっ、論外ってどういうこと!?」
俺、ちゃんとやったよ!?
ミミにも協力してもらったのに!
姉ちゃんの写真は普通の花の写真。
特にコメントすることない。
「さ、最後は俺だな」
父さんはスマホを操作して、画面を俺たちに見せる。
そこには、悔しいけど綺麗は写真があった。
満開の桜と、綺麗な澄んでいる川。
そこに小さい鳥と、5歳くらいの女の子が写ってる。
「どうだ?」
「す、すごいです……。綺麗ですよ……」
口を押えながら言う咲羅。
咲羅は感動してる。
いや、咲羅だけじゃない。
他のみんなも口を開けて驚いてる。
俺も多分そうなってる。
知らなかった、父さんがこんな綺麗な写真撮れるなんて。
意外と芸術とかのセンスあるのかも、父さん。
「――ってわけで、俺が優勝みたいだな」
本当に悔しいけど、認めるしかない。
だってこれはすごすぎる。
「それじゃ、景品は俺のもんになっちまったな! 景品は、今俺の家にある生ゴミだ!」
あ、優勝しなくてよかった。
生ゴミもらっても困るし。
「あなた……、どこでそんな写真撮ったの……?」
酔ってるはずなのにハキハキと喋る母さん。
その理由はなんとなくわかる気がする。
「ああ、これか? これはネットの拾い画だ!」
……は?
「いやー、今の時代はすごいなー! ちょっと検索すればいくらでも出てくるな!」
……返せ、さっきの感動。