第253話 写真を撮ろう 〜3〜
ミミについていくと、きちんと花見スポットまで来れた。
ここは人で賑わってる。
「こういうとこで花見すりゃよなったのに……」
「ミャー」
ミミはそのまま歩き続ける。
だから俺もついて行った。
しばらく歩くと急に止まった。
そして『ミャー』と俺の後ろを見ている。
振り向くと、見事な景色が――まぁ、そこまですごいかって言われたらすごくはないけど、まぁ綺麗な景色があった。
桜並木って感じ。
ここはよさそうだな。
「ミミ、ありがとな」
「ミャー!」
うん、いつも通りミミはかわいい。
俺はスマホを出してその写真を撮ろうとする。
……? あれ? おかしいな……。
なんか黒いんだけど。
逆光って感じになってる。
なんで? スマホ壊れた?
「ミミ、スマホ壊れたんだけど」
とりあえずその写真を撮ってから、それをミミに見せる。
ミミは『ミャー……、ミャー……』って言ってる。
なるほど……『私にはちょっとわからないよ……ごめんね……』か。
「いや、いいんだよ。ミミのおかげでここまで来れたし、ミミがいるだけで助かるよ」
「ミャー!」
めっちゃかわいい。
さすがミミ。
さ、俺はこれでいいかな?
まだ時間余ってるけど、俺はこれ以上は無理だ。
「ミャー! ミャー!」
ミミは俺のズボンを軽く噛んで止める。
『そんなんじゃ負けちゃうよ!』って言ってる?
確かに咲羅は写真撮るのセンスありそうだもんな。
あいつイラストレーション部だったよね?
言音も頭よさそうだからな……。
翔琉もなんだかんだで良いの撮りそうだし。
姉ちゃんは多分そこそこのやつ。
母さんもそこそこ。
父さんはなー、そもそもちゃんと撮るかわからない。
けど、確かにこんな影が入ったやつじゃ負ける。
よし、ここはミミに従うか。
それから俺はミミに従っていろいろなところを撮った。
でもなんか全部の写真が暗くなっちゃった。
影が入ってるっていうか……。
ま、俺のスマホがこうならみんなもそうか。
自信を持っていこう!
で、俺はあることを気にしてなかった。
それが時間。
呑気に集合場所に向かったら、みんなに『遅いぞ!』って言われた。
『ミミも一緒に怒られるかなー?』って思ってたら、ミミは気づいたらいなかった。
逃げたんだな。
いや、本番はここからだ。
俺はミミにいろいろなところを教わって、いっぱい写真を撮ったんだ。
絶対に勝てる……!