第249話 今から準備する!
もう終わりました、俺たちの花見。
母さんも酔ったからです。
今二人で盆踊りみたいなの踊ってる。
ミミも連れてきたけど、ミミは突然の飼い主の奇行に驚いてる。
驚いてるのは翔琉と言音も同じだけど。
「……言音ちゃん、翔琉くん、ごめんね?」
「いや、……いいお父さんですね……。私のお父さんとは違った感じで、いいスパイスになります……」
嘘を言うな、言音。
このスパイスは刺激が強すぎるって。
「……ちょっと姉ちゃんたち来て。ミミもついてきて」
俺は立ち上がってそう言う。
翔琉たちはもちろん、ミミもついてきてくれる。
こんなに懐くんだね、ネコって。
俺はさっき土下座したところまで行った。
「……あのさ、自分の親だけど、ヤバくない?」
「ミャー!」
ミミは『ヤバいよ!』って言ってる。
「ミャーミャ、ミャー! ミャー!」
「だよな、ミミもそう思うか」
「え……木神先輩……ネコ語わかるんですか?」
「『私がマタタビ食べたときよりもヤバいよ』って言ってる」
「すごいですね……。僕、全然わかりませんだしたよ……」
「私たちも最初はわからなかったけど、そのうちわかるようになったよ」
……ってことはどうでもいいんだ。
今はこれからどうするか考えなきゃ……。
「二人とも、本当にごめん」
「……! そういえば私、今から花準備できますよ! 桜みたいに大きくはないですけど!」
「言音ちゃん……そんな無理しなくていいよ……」
「私は無理なんてしてません! それより、せめて『綺麗だな』って思いたいじゃないですか! 今から準備します! ちょっと待っててください!」
言音は忙しいそうにどこかに走っていく。
今から準備できる花って……。
「……? そういえば天太、財布は?」
「え?」
不意にズボンの後ろポケットを確認する。
いつもそこにいれてるから。
……? あれ? 財布は!?
「ないんだけど!」
「ちょっ、落としたの!?」
「俺……どこにも置いてないよね……?」
「私は見てないよ?」
「……落とした……かも……」
しばらくの沈黙。
別に俺は気まずくない。
ただ焦りがすごい。
「……おみくじ……当たっちゃいましたね……」
翔琉の声。
おみくじ……?
「先輩の金運の箇所……『財布落とす』……」
……なんで対策しなかったんだろ……俺……。
おみくじ本当に当たっちゃったじゃん……。
もうおみくじ引くのやめよっかな?
※天太のおみくじの結果を覚えてる方はかなり記憶力が良いと思います。(そもそもどこで出てきたか覚えてますか?)