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第247話 花見……? 〜1〜

 「あの、本当に僕がお邪魔しちゃっていいんですかね……?」

 「いいって! それより、天太にも友達がいたとはな!」


 花見当日。

 快晴で、まだ春なのに暑い。


 レジャーシートを敷いてその上でみんなでガヤガヤしてるけど、近くに人はいない。

 もちろん、今は花見シーズンで花見をしている人はたくさんいる。

 ただ俺たちの近くには誰もいないだけ。


 理由は簡単にわかる。

 もし俺が一人だったとしても、ここで花見はしない。


 「あのさ、みんなツッコまないからツッコむけど……」


 俺は上を見上げる。


 「……花、どこ?」


 そう、俺たちの近くには花が全くない。

 桜はもちろん、タンポポすらない。

 近くに生えてるのは雑草だけ。


 「ああ、だいぶ昔に切られちまったんだ! みーんなな!」


 ガッハッハッって笑いながら酒を飲む父さん。

 母さんも今日は酒飲んでて、早速酔い始めてる。

 姉ちゃんは翔琉によっぽど興味があるのか、楽しそうに話しかけてる。


 ……俺、なにしてんだろ、せっかくの春休み。

 こんななにもないところに来て、ただ親が酔ってるところ見てるだけ?


 ならまだ感想文書いてるときのほうが楽しかった。


 「おう、いっぱい食え! 食べ物は結構用意してるんだ!」


 食べ物よりも花を用意しくださいよ。


 翔琉には本当に申し訳ないことしたな。

 あとで全力で謝ろう。


 「ねー、天太! そこに川があるから行こうよ! 翔琉くんと一緒に!」


 満面の笑みを浮かべながらそう言う姉ちゃん。

 それはいい考えだ。


 「確かに。お腹空かせるためにまず動かなくちゃね。ってわけで、俺たちはちょっと歩いてる」

 

 俺と姉ちゃんは同時に立ち上がって、それに遅れて翔琉も立ち上がる。

 よし、行くか――!






 「「本当にごめんなさい!」」


 俺と姉ちゃんは同時に土下座しながら謝る。

 翔琉はそんな俺たちを見て困惑してる様子。


 「もっと考えてから誘うべきでした!」

 「私もきちんとプランを確認しておくべきでした!」

 「せっかくの翔琉の春休みを!」

 「こんな変な思い出にしてしまい!」

 「本当に!」

 「申し訳ございませんでした!」


 まだ頭は上げない。

 姉ちゃんもそうしてるみたい。


 翔琉がさらに困惑することはわかるけど、謝らなくちゃいけない。

 俺がもし翔琉の立場だったら、少し怒ってたかもしれない。


 「あれ? 翔琉……。って、土下座してるの木神先輩と遥海さん!? ちょっ、どういう状況!?」


 どこからかそんな声が――まぁ、なんとなくわかるけど――する。


 「ちょっ、頭上げてください! 翔琉も、なんでこんなことさせてるの!」


 いや、翔琉は悪くないんだ!


 そう言おうとして頭を上げてしまう。

 姉ちゃんも同じ考えだったらしく、一緒に頭を上げた。


 予想通り、翔琉の隣には言音がいた。


 変なタイミングで来ちゃったな……。

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