第240話 翔琉と仲良くなろう作戦 〜4〜
俺と翔琉はとある公園まで来た。
植物がよくあって結構広い。
……あんまり言いたくないけど、発砲事件があったとこ。
俺と咲羅が学校サボって遊んだ日、あったじゃん?
そのときにここにも来たんだよ。
で、咲羅がなんか言ってるときに聞こえんだよね、銃声。
あそこ。
「どう? ここなら話しやすいでしょ? そもそも人いないから、話聞かれることもないし」
「……ありがとうございます……」
やっぱ翔琉の敬語、慣れないな……。
「なんか飲みながら話す? ……あ…冷たいシェイクとかは却下で」
「……やっぱり……気にしてたんですね……」
「いや、なんていうか……」
「気にしちゃいますよね……あんなことされたら……。それを敢えてするとか……最低ですね……」
……翔琉って結構自虐的?
お前、今までそんなキャラじゃなかっただろ。
いつものお前が一番安心するわ。
「違う、ギャグで言っただけ」
「……スベりましたね……」
うるさい。
ってか、そもそも笑いを狙ってない。
「で、話ってなんだ?」
「……話して……いいんですか……?」
「どうぞ?」
「……座りましょうよ」
それもそうだな、立ち話する必要なんてないし。
俺は下に虫とかいないことを確認して、その場に座る。
地面に座るの久しぶりだな。
「……なにしてるんですか?」
「なにって……座ってる」
「……天然なんですか?」
なにが? ってか、俺は天然じゃない。
ちゃんと親に家で計画的に育ててもらったし、自然で生きてないから、どちらかといえば養殖だ。
……養殖ってことは、俺これから食べられるじゃん。
そもそも翔琉の言ってる『天然』と意味が違う気がする。
「向こうにベンチ、ありますよ?」
「……本当だ」
「だいたいの公園はありますよ、ベンチ」
「球技大会で疲れてるの」
俺はそう言いながら立ち上がって、近くにあるベンチまで行く。
俺が座ると、翔琉は俺の隣に座った。
「はい、じゃあここから本番。聞かせてくれる?」
「……誰にも……言わないって約束してくださるなら……」
「するに決まってるだろ。そのためにここに来たんだ」
「……あんまり詳しくは話せないんですけど……昔のことで……」
昔のこと。
それは翔琉が昔、なにかあったってことかな?
「自分を……本当に信頼してくれる人……そう思ってた人に……裏切られて……。誰を信じればいいかわからなかったから……」
「……つまり、人間みんなが信じられなくなったってことだな? だから誰も自分に近づかないために、失礼だとわかってながらも、嫌われるようなことをしてたと?」
翔琉は黙ってうなずく。
別に俺は翔琉の行動を否定できるわけじゃない。
俺だってわざと、自分が嫌われるようにしてたんだから。
でもな……そうしてる理由が……。
やっぱり納得できない。
仕方ない、本気で考えて、本気で話してみるか。