第24話 興奮する姉ちゃん
「ねね、天太!」
自分の部屋で勉強してたら、姉ちゃんがいきなりこの部屋に入ってきた。
ノックくらいしろよ……。
「で、結局どうなったの!?」
「何がだよ……」
「昨日の女の子だよ! あのあと送っていったんでしょ?」
昨日の女の子……?
実璃のことかな……?
「普通に送っていっただけだけど……」
「なんかやったの!? キスとかハグとか!」
「んなのするわけねぇだろ……」
「だってあれ、天太の彼女でしょ!」
なんでそうなるんだよ……。
俺に彼女ができるわけねぇだろ……。
「もしかして……何もしなかったの?」
「当たり前だろ」
「……つまんな……」
なんで……?
逆に俺が実璃に手を出したら、それはそれでヤバイやつだろ……。
「でもかわいい子だったね」
「まぁ、整った顔してると思うけど……」
「姉としては嬉しいなー。天太もちゃんと女の子の友達がいるなんて」
友達……。
咲羅と実璃は友達って言っていいのか……?
総一朗は友達だけど……。
……いや、アイツは最近なんか酷い態度とってくるし……。
「じゃ、お祝いとして今日はごちそうつくっちゃおっか! 私が腕を振るうね!」
「え、姉ちゃん料理できるの!?」
「えっ、知らなかったの!? なんで!?」
「いやだって、姉ちゃんが料理してるとこ見たことないし……」
「天太……、もうちょっと家族のこと見ようよ……。私、ほぼ毎日料理してるよ……?」
……え?
姉ちゃん……ほぼ毎日料理してるの……?
知らなかった……。
「じゃ、用意してるくるね!」
姉ちゃんはそう言って、俺の部屋から出ていった。
そのとき、俺のスマホが震える。
誰かから電話がきていた。
知らない番号だな……。
俺はとりあえずその電話に出て、スマホを耳に近づけた。
『……もしもし?』
スマホから声がする。
異常に高い声だ。
多分、ヘリウムガスとかで変えてるんだと思う。
「もしもし?」
『木神天太か?』
「……なんでその名前を知ってる?」
一応、知らないやつかもしれないから『木神天太は俺の名前』ってことは言わない。
『その反応、お前が木神天太らしいな』
「肯定も否定もしない。で、なんの用だ?」
『……お前、名取真央に狙われてるだろ』
名取真央……。
アイツか……。
『気をつけろよ、アイツは一度狙った人間は絶対に殺す』
「殺す? 銃とかナイフとかでか?」
『そっちの殺すじゃねぇ。まぁ、それはどうでもいい。とにかく気をつけろよ、アイツには。アイツは人間という心がない』
そう言われて、電話は切れた。
なんなんだよ……。
ヘリウムガス、やったことないんですよね。
面白いのかな……?