第215話 3学期、やっぱ嫌い
やっぱ3学期、嫌いだわ。
ついさっき嫌いになった。
なんでかって?
行事が増えたからだよ。
いやさ、聞いてよ。
いつも通り終礼があったの。
そしたら担任の先生がいきなりヤバいこと言ったんだよ。
『今から配るプリント、新しい行事についてです』。
最初はこの人がなに言ってるのかわからなかった。
でもプリント見てからわかった。
『球技大会についてのお知らせ』。
『球技』――『スポーツ』。
……俺のこといじめたいのかな?
絶望しながら家に帰ったけど、そのプリントを見てさらに絶望してる。
いつもは安心感が半端ない自分の部屋も、全然落ち着かない。
「あーまた! 一緒に料理しよ!」
プリントとにらめっこしてたら、いつも通り姉ちゃんが入ってくる。
「最初は簡単なのにしよっか! ほら、天太料理したことないじゃん? 火とか使わないのがいいよね。『マグロとアボカドのわさび醤油和え』とか?」
「……姉ちゃん……」
「? 元気ないね。どうしたの?」
「泣きたい」
プリントを姉ちゃんに見せる。
姉ちゃんはそれをじっくり読んで、微妙に笑った。
「その球技大会ってやつ、『今年につくられた』って書いてあったね」
「なんでこういうタイミングに……」
「大丈夫だよ。つくったばっかってことは、すぐにはやんないよ。ほら、4月にもらった年間予定表にも載ってなかったわけだし、そんなすぐ準備できないよ。親も教師も」
「そう思うじゃん?」
俺はプリントを裏にして、その面を姉ちゃんに見せる。
裏にも色々と書いてあるんだよ。
「……あー……、頑張れ……」
姉ちゃんがそう言うってことは、読み終えたんだな。
裏に書いてあること、要約すると『2月1日に実施します』。
来年のじゃなくて『今年の』。
いやいや、ツッコミどころ多いよ。
まず、この日うちの学校の入試の日じゃないの?
受験生いっぱい来て、うちの入試受ける日だよね?
俺が受けたときは2月1日だったぞ、確か。
それに、もう1ヶ月もないのに準備できるの?
「なんで俺ばっかこんな目に……」
「天太だけじゃないよ。みんなやるんだよ」
「本当に嫌だ」
「大丈夫。天太、なにしてもプラスの方向に働くから」
「おっしゃってる意味が理解できないんですが」
「バスケとかでさ、天太がフリースロー失敗しまくったとするよ? それでも『しょうがないよ、運動苦手だもんね。挑戦しただけでもすごいよ! さすが天太くん!』って言われるよ?」
そんなことあるわけないだろ。
絶対に『なんで外すんだよ』って思われるって。
3学期くらい静かに生活させてよ……。
作者のテストが終わったので、投稿再開します。……これからはいっぱい書き溜めとかなきゃな……。