第214話 どこで誰と寝ましたか?
やっぱり3学期、大好き。
なんでかって?
行事がないからだよ。
だってほら、変に行事やっちゃうと目立っちゃうじゃん、俺が。
目立ちたくないのに、他のやつらがなんかするせいで。
未だに許せいなところがあるよ、あのモヒカンには。
覚えてる? モヒカンのこと。
演劇中に変なアドリブ入れたやつ。
今は休み時間。
1時限目と2時限目の間のやつ。
いつもは変な女子たちに囲まれてるけど、今は囲まれてない。
だって男子トイレの中にいるもん。
授業終わってすぐにこの中に入った。
やっぱ落ち着くね、独りだと。
そう思いながらトイレから出る。
そしたら目の前に実璃がいた。
見た感じ、咲羅たちはいない。
実璃一人みたいだ。
「少しお話があるんですけど」
いつもより声がちょっと低い。
俺なんかしたかな……?
「えっと……、ここじゃ色々と――」
「昨日――ってか今日、どこで誰と寝ましたか?」
俺の話は聞いてくれないんだ。
なんか悲しいな。
それと、なにその質問。
「どこでって……。咲羅の家だけど?」
「お泊まりしたんですね」
「だってそういう予定だったし……」
「……一人で……白糸さんの家に行ったんですよね……?」
「まぁ、みんな来なかったからな」
「……? まぁ、それはおいておいて。家、二人きりだったんですか?」
「……確か」
「……誰にも言いません。咲羅さんとなにしてましたか?」
なにもしてません。
強いて言うなら、呪文みたいなのが書かれた紙を急いで破いてる咲羅を見てただけです。
僕はなにも悪くありません。
「マジでなんもしてない」
「……まぁ、天太さんなら、誘われても我慢するか」
この会話、高校でするもんじゃないって。
やめてよ、変なふうに思われちゃう。
「ってか、実璃はなんで来なかったんだ? みんなといたらもっと楽しそうだったけど」
「? なに言ってるんですか?」
「は? 忙しいから断ったんじゃないの? 咲羅の誘い」
「……白糸さんからそのようなお誘いは来てないんですけど」
……は?
待って、マジでわかんなくなってきた。
「なんかみんなも誘ったけど、予定あって来れなくなって……」
「……白糸さんにそう言われたんですか?」
「……まぁ……」
「……なかなか攻めますね……」
なにが?
咲羅、なんか攻撃してたの?
「……そういえば天太さん、夜泉さんの家にも泊まったことありましたよね?」
「……うん……」
「つまり、私の家だけですよね? 泊まってないの」
「いや、言音んとこも行ったことないけど」
「いろいろ準備します。待っててください」
なにを?
ヤバい、実璃の説明がわからない。
「私も――」
「ちょっ、実璃ちゃん!」
実璃の声を遮って誰かが来る。
見たことありそうで見たことなさそうな、体育着着てる女子生徒。
「次体育だよ!?」
「え、体育!?」
「もう時間でみんな着替え終わっちゃってるよ!」
「ちょっ、先生に少し遅れますって言っておいてください!」
実璃はその女子生徒に大声で言って、走り出した。
……忙しいやつだな。
あることに気づきました。もう定期考査がかなり近いです。ということで、またまたまたまた活動を一時的にお休みさせていただきます。勉強、大変です……。