第211話 シャワー浴びてる
今、俺はシャワー浴びてる。
もちろん咲羅の家のやつ。
ここに来るのも2回目だ。
咲羅は俺のあとに入るみたいで、今はリビングにいる。
そういえば湊亜の家にも泊まったことがあるんだよな、俺。
そのときも湊亜の家のシャワー借りたし。
俺意外とヤバいことしてるな。
付き合ってもない同級生の女子の家に泊まるし、シャワーも借りるし。
本当にこれでいいのかな……?
……って、思いながらもシャンプーで髪洗ってる。
多分金木犀の香りがするやつ。
なんか前もあったよね、金木犀の香りがするってやつ。
咲羅の髪からしたにおい。
あれからだいぶ経ってるけど、まだ金木犀なんだ。
金木犀好きなのかな?
それより咲羅、意外と料理できたんだな。
あれ全部咲羅がつくったんだよね?
ま、みんな料理上手いと思うけど。
だって毎日俺のためにつくってくださるもんね、弁当。
いやさ、咲羅とか実璃たちならまだいいよ?
でもまだ名前も知らない女子生徒からいっぱいもらうもんな。
毎日毎日苦しいですよ……。
気づいたら実璃もつくってきてくれてたし、そのうち言音も湊亜も一緒になってつくってきてくれたもんな。
そういえば実璃ってあんなキャラだったっけ?
最初に会ったときとだいぶ変わったよね?
そんなことを考えてたら、もうシャワー浴び終わった。
バスタオルでよく身体を拭いてから、近くに置いてある服を着る。
この服は咲羅から借りたもの。
いとこが泊まりに来たとき用の服を貸してもらった。
「咲羅ー、今上がったけどー」
リビングに行く。
でもそこに咲羅はいない。
自分の部屋かな?
それより俺はどうすればいいんだろう。
ここで待つしか選択肢ないよね?
よし、待とう。
ボーッとするの得意だし。
最近ボーッとする時間なかったからな、久しぶりにできて嬉しい。
よし、ボーッとするぞ――
「――あ、上がった?」
ボーッとしようとしたところで咲羅が来た。
いいタイミングか悪いタイミングかわからない。
「……待って、本当に天太?」
「え、俺だよ。なにその変な質問」
「……ちょっと待って」
咲羅はポケットからスマホを出して俺に向ける。
そして『パシャッ』って音が聞こえた。
……写真撮られた?
「これでよし」
「いやいや、なにやってるの!?」
「待ち受け画面にする」
「ちょっ!? なんで!?」
「大丈夫、誰にも見せない」
そういう問題じゃなくて。
俺を待ち受け画面にしてもなんもないだろ。
咲羅は黙ってスマホ操作してるし。
マジで待ち受け画面にするんだ、この俺を。
追記……作者の都合により、再度活動を一時だけ(ほんの)中止させていただきます。作者の都合によるものです。本当に申し訳ございません。