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第202話 飲泉専用……?

 「あー、うめー」


 感情のこもってないない声で言いながら瓶の牛乳を飲んでる総一郎を視界の端に入れながら、俺は服を着た。

 ボーッとしてたから具体的にどのくらい経ったかわからないけど、きっとサウナとかだけで1時間くらいつぶせた。


 柚斗はドライヤーで髪をかわかしてる。


 俺と総一郎は自然乾燥タイプだからドライヤーはしない。

 なんかさ、あの風が当たる感じがあんまり好きじゃないんだよね。


 それと、超今更だけど、ここは更衣室に自販機あるタイプだった。

 だから今、総一郎は裸でタオルだけ巻いたまま牛乳飲んでる。

 もちろん、俺の金で。

 サウナの勝負で負けちまったもんな。


 それより、最後まで総一郎に飲泉専用のところがあるってバレなくてよかった。


 「天太は飲まないのか?」

 「俺はいいよ、金もったいないし」

 「へー、こういうとこの牛乳美味しいのに」

 「今は飲む気になれないだけ。俺の分味わって飲め」

 「わかってる」


 うん、そうだね、わかってるならいいよ。


 ……それと、柚斗いつまでドライヤーやってるの?

 もう5分くらい経つよ?

 ドライヤーってそんな長い間やるもんなの? わかんないけど。


 俺もう着替え終わったよ?


 「じゃ、外でみんな待ってるか見てくる」


 俺は二人にそう言って外に出る。


 俺の予想じゃまだ女子たちは入ってると思う。

 けど一応確認ね。


 髪が少し濡れたまま外に出て、周辺を見渡してみる。


 そしたら休憩所みたいなところにみんながいた。

 みんな楽しそうに話してる。


 みんなって女子たちね?


 「あれ、天太じゃん。早かったね」


 すぐに姉ちゃんが俺の存在に気づいて俺に向かって手を振る。


 「遅かったね」

 「いつも通りだと思うけど」


 会話しながら俺はみんなのところに近づく。


 「そんな長風呂だったっけ?」

 「いっつも姉ちゃんが遅いから、今日も遅いんだろうなって思って時間つぶしてたの」

 「サウナとか?」

 「サウナとか」

 「そこでメールしてくれればよかったのに、『サウナ入るからまだ時間かかる』って」

 「サウナでメールできるか」


 そこまで話してから俺の隣に柚斗と総一郎が来る。

 黙ってくるなよ、怖いな。


 それと総一郎、もう着替え終わったの?

 俺が出た後すぐに牛乳飲み終わって、すぐに着替えたの?

 俺が出ていってから1分もかかってないよ?

 マジでその時間で着替え終えてたらかなりすごいよ?


 「あ、江島くん、お風呂どうだった?」

 「うん、最高だったよ!」


 さっきまでちょっとかっこいい言い方だったけど、湊亜からの質問にはいつも通りの声と口調で答える。


 「それとさ、飲泉やった?」

 「うん、やったよ! 味よかったね!」


 あ……なんか嫌な予感する。


 「飲泉専用ってところ見たときびっくりしたよー」

 「……インセンセンヨウ?」

 「うん、『ここ以外の温泉は飲まないでください』って書いてあったところ」

 「…………」


 総一郎は黙って俺を見る。


 俺を見るな、悪いのは柚斗だ。


 「……天太、お前も飲んだよな?」

 「……うん、飲んだ」

 「……トイレ行くぞ」


 吐くつもりか。

 ……仕方ない、一緒に行くか。

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