第201話 水風呂で
そろそろかな、水風呂から出るの。
だいぶ落ち着いてきて、冷たいと思ってた水風呂も今は気持ちよくなってきた。
総一朗はもう全然動いてない。
目も閉じてる。
見た感じはどう考えても死んでるようにしか見えないけど、多分生きてる。
こいつの生命力はゴキブリよりすごいってもうわかったから。
「俺はそろそろ外行くけど、二人はどうする?」
水風呂から身体を出して柚斗と総一朗に言う。
それと同じタイミングで総一朗はゆっくりと目を開けた。
なんか、地味にかっこいいな、この目の開け方。
なんでかわからないけど、総一朗がかっこいい仕草やるとちょっと面白い。
「江島が残るなら俺もまだここにいる。こいつ、一人にしたら多分死ぬから」
「どういう意味だよ」
数分ぶりに総一朗が喋ってくれる。
いつもより落ち着いてる感じがする。
ちょっとかっこいいのムカつくな……。
「俺は行けるぞ、いつでもな」
セリフも地味にかっこいいな。
ここで倒置法使ってるよ。
総一朗は濡れた手で髪をかき上げる。
あー、オールバック総一朗だー。
冗談抜きでかっこいい。
本当に湊亜のこと好きなら、湊亜の前でもこういう感じにすればいいのに。
「で、このあと外に出るんだろ?」
「よく知ってんな、完全にサウナ初めてって感じだったけど」
「初めてでも知識はある」
総一朗はゆっくり立ち上がって水風呂から出る。
リアルでかっこいいのがマジでムカつく。
だからこれ以上総一朗のこと言うのやめるわ。
「……木神、江島って水に浸かるとかっこよくなるタイプ?」
「わかんない」
「正直江島のことどう思ってた?」
「女好き」
「褒め言葉はないんだな」
「今はあいつのこと褒めたくない」
「…………」
なんで黙る?
俺なんかまずいこと言った?
柚斗は総一朗のあとを追うように水風呂から出ていった。
なんだあいつら。
柚斗に関してはいつもああだけど、総一朗は完全に違った。
総一朗はかっこいいよりお笑いのほうが俺は好きだけどな……。
ここにずっと立ってても仕方ないから俺も外に出た。
外に出たらすぐそこのベンチに早速二人が座ってた。
ボーっとしてる。
俺は二人の隣に座りたくない――ってか、総一朗の隣に座りたくないから他のベンチに座ろ。
そういや、女子陣はいつまで入ってるんだろ。
咲羅たちの入浴時間はわからない。
……それより俺、総一朗に牛乳奢らなきゃいけないのか。
久し振りの投稿だー……。あ、おかげさまで作者の定期考査は終わりました。来年度も、よろしくお願いします!