表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
193/258

第193話 海の中へ

 咲羅に腕引っ張られながら海に向かう。

 風がマジで冷たい。

 でも咲羅は止まる勢いがない。


 「咲羅! マジで死ぬぞ!」

 「大丈夫!」


 なんも大丈夫じゃないよ!


 嫌だよ? ニュースで『高校生男女が海で死亡。凍死か』とか流れたら!


 ああ、 もう足が海に触れちゃう!


 そう思ったころにはもう海に足が入った。


 あー、冷たい……。

 全然心地よくないなー、ただ突き刺すような痛みが……。


 でも咲羅はどんどん海の中に入る。

 海面が腰のところまで来ると、痛みがさらに増した。


 次は肩のところまで来た。


 よし、今から予言してあげるよ。

 あと数秒入ったら、俺死ぬよ。


 「天太! 寒いよ!」

 「じゃあ入るなよ!」


 咲羅もカタカタ震えてる。

 多分俺もカタカタ震えてる。


 ……? 待って、俺覚醒したかも。

 もうなんも感じない!


 さっきまで冷たくて仕方なかったのに、今はもう冷たくない!

 あったかくもないけど……まぁ、なんも感じない!


 砂が足に喰い込んでるからさっきまで痛かったのに、今は痛くない!


 ヤバい、俺マジで覚醒した!


 「天太! ごめん! 出るよ!」


 咲羅はそう言って海から出ようとする。

 もう限界らしい。


 俺はまだ余裕だからまだ入ってよ。

 これで姉ちゃんびっくりさせたいな……。


 咲羅は完全に海から出て俺を見る。

 俺は肩まで浸かってるから、咲羅はほれを見て目を大きくしてる。


 他のみんなも目を大きくしてて、なんか面白い。


 「天太くん!? 大丈夫!?」

 「余裕ー! これから風呂、これでいいかも!」

 「天太さーん! 強がりする必要ありませんよー! 命に関わるので早く出たほうがいいですよ!」

 「大丈夫! あと5分は余裕で入れるし!」


 みんな心配してくれてるのか。

 優しいなぁ、こんな仲間ができて嬉しいよ。


 暇だし海水飲んでみるか。


 俺は手で海水をすくってちょっとだけ口に入れる。

 うん、びっくりするくらいしょっぱいわ。


 ここから出たらシャワー浴びなきゃな。


 「……天太ー!」


 海水の味を楽しんでると姉ちゃんの声が聞こえる。


 「もしかして、感覚なくなってる!?」


 おっしゃる通り、感覚なくなってます。

 なぜかって? 覚醒してるから。


 「それならマジで早くあがって!」

 「大丈夫ー! 覚醒したからー!」

 「それ覚醒じゃないよ!? ただ単に身体が麻痺してるだけ! マジで死ぬよ!」


 いや、そんな大げさな。


 「身体が一生動かなくなっちゃうよ! マジで!」


 ……ほへ?

 マジで?


 今気づいたけど、確かに姉ちゃんはマジで心配してくれてるみたい。

 俺を助けるために、海に入ろうとしてるし。


 ……ってことは……、俺マジでヤバい状況!?

 ヤバいじゃん! 早く出なきゃ!


 そう思って脚を動かそうとする。


 ……? あれ?

 脚が動かない……。


 待って、動かないんだけど!

 歩けない!


 どうしよう!

 まだ死にたくないよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ