第186話 部活の実績……?
「――と、いうわけで、この部活が存在している理由は!」
ホワイトボードの前で演説するみたいに喋ってる野尻先輩。
今は行儀管理部の部室にいる。
この中には俺と野尻先輩、言音と翔琉がいる。
翔琉はいつも通りスマホいじってる。
野尻先輩の前にあるホワイトボードにはいろいろと書いてあって、『行事をつくる!』とか『みんなに楽しんでもらう!』って書いてある。
なんで野尻先輩がいきなりこんなことをし始めたのかはわからない。
俺が部室に来たらこうなってた。
なんか行事管理部の実績を説明してるらしい。
「なのに! うちら全然行事つくってないの! これじゃ実績ないから廃部だよ!」
「でもこの前つくりましたよね? なんか『隠れてもいい鬼ごっこ』みたいなやつ!」
「コットーね、わかってるの? 考えたはいいけど、実行できてないじゃん」
「あ、本当ですね! アハハハハ!」
なにを笑っているんだ、言音。
お前が怖くなってきたぞ。
「きがあまは? どう思う?」
「どう思うもなにも……、俺この部活に入って1年も経ってませんし……」
「けるは?」
「どうでもいい」
「もー! なんでみんな協力してくれないの!」
いや、協力するもなにも……、なにをすればいいかわからないし……。
ってか、そんなに廃部するの嫌なのかな?
野尻先輩ってもう卒業だよね?
だから廃部になっても野尻先輩にとってはなんも問題ないと思うけど。
ま、俺もこの部活気に入ってるから廃部になってほしくないけど。
「だからどうするの!? また新しい行事考える!?」
「えー、面倒くさいですよー。私木神先輩ともっと遊びたいです」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ! 本当に廃部になっちゃう!」
「でも私新しい行事考えたくないですよー。この前の隠れオッケー鬼ごっこでよくないですか? 白糸先輩とか喜びますよ?」
「白糸先輩って……、……ああ、2年生の白糸咲羅ね。あの子もすごいよねー。あんなに顔良くてツンデレでしょ? そりゃ男子メロメロになっちゃうわ。でもあの子がツンデレなとこ見たことないけどねー」
まぁ、そりゃ前までキャラ変えてますからね。
今はちょっとだけツンデレになってますよ。
「……本題からずれてると思う。オイラたちの目的は『行事管理部を廃部にしないこと』じゃないのか?」
「ああ、そうだった! ええい、私も鬼ごっこやりたいから前決めたやつでいいよね! 先生に土下座して頼む!」
「結局この前決めたやつにするなら今日話し合った意味ないじゃないんですかー?」
「うるさい! 職員室行ってくる!」
野尻先輩は大声でそう言って部室から走って出ていく。
本当ににぎやかな部活だな、意外と。