第183話 今日からいつも通りに
翌日、朝7時40分。
俺はミミを撫でてから家を出た。
今日はちゃんと学校に行こうと思う。
ドアを開けると、外に咲羅がいた。
いや、咲羅だけじゃない。
実璃や言音、湊亜もいる。
……あとついでに総一郎。
「おはよ、遅かったね」
俺がみんなのところに行くと、咲羅がそう言ってくれた。
「ああ、おはよ。別に時間はいつも通りだけどな」
「じゃ、行きましょっか! 先輩と会うの楽しみにしてたんですよ!」
言音の言葉を合図に俺たちは歩き出した。
嬉しいことに、誰も俺について言わなかった。
見た目が戻った理由とか、昨日なんで休んだのかとか。
「そういえば、ニュースがあるんですよ、先輩のための!」
「俺のため?」
「はい! 昨日、向こうにある公園で拳銃持った男が出たらしいんですよ!」
「あ、今朝見たよ、そのニュース。怖いよね」
「ね! でも大丈夫だよ! 湊亜さんは俺が護るから!」
「江島さんはいつも通りですね」
拳銃持った男……。
すぐ近くの公園……。
うん、間違いない、あのときのやつだ。
じゃああの銃声みたいな大きい音、マジの銃声だったんだ。
ってか、どうやって拳銃ゲットしたの?
今の日本ならそういうの入手するの難しいと思うんだけど。
「……で、そのニュースが俺のため?」
「え、違いますよ? ただ気になったニュースだったので!」
「じゃあなんで最初に『俺のためのニュース』って言った⁉」
「おー、元気な木神先輩、やっぱいいですね!」
このときの言音の言葉で気づいた。
こいつは俺を元気にさせようとしてくれてたのかも。
やっぱ優しいな、言音。
さすが、名字が『赤木』なだけある。
……いや、名字は関係ないじゃん。
「で、こっからが木神先輩のためのニュースです! 昨日、海川先輩と翔琉が演説したんです!」
……は?
『海川先輩』って柚斗だよな?
それに翔琉って……。
なんの接点もないと思うのに……。
それになんで演説?
「ま、本人たちから詳しくは聞いてください! 珍しく翔琉がかっこよかったんですよ!」
「珍しくかっこよかったのか……」
「海川さんもいつもとは違う感じでしたね」
「へー、どんな感じ?」
「クールでした」
「……それはいつもじゃね?」
うん、柚斗って基本的にクールなイメージ。
それと柚斗と最近ちゃんと話せてなかったな。
翔琉とは学園祭で結構話したから別にいいけど、柚斗とはちゃんと話せなかった。
学校着いたら、お礼言うついでに話そ。