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第182話 咲羅と解散

 「……そろそろ解散かな?」

 「……そうだね」


 今はだいたい4時半。

 一応学校が終わるのと同じタイミングで帰ったほうがよさそうだから、この時間に解散することになった。


 「本当にありがとな。急に誘っちまって」

 「別に大丈夫だよ。ただ、不満はあったけど」

 「え、マジ? ごめん」

 「いや、まぁ、天太のせいではないけど……」


 謝ったっちゃ謝ったけど、なにが不満なんだろ……?


 「ってか、天太ってすごいよね」

 「? なにが? 昼休みに弁当10個くらい食べてること?」

 「それもすごいけど。そんなんじゃなくて、人間として」


 人間としてすごいってどういうこと?


 「ちゃんと真っすぐだもんね。恐れないで行動するし」

 「まぁ、そうかもな」

 「それが正しいかって言われるとなんも言えないけど、すごいと思うよ」


 咲羅が俺に身体をくっつける。

 ……これは……、どういう意味なんだ?


 やっぱ『私、ほしいものがるんだけど〜』ってやつ?


 「天太……」


 咲羅が俺の顔を見つめる。

 ごめんな咲羅、お前の行動の意図がわかんないよ。

 だからなにをすればいいかわかんないよ。


 「……やっぱ勇気なかったわ、私」


 咲羅は軽く笑いながら俺からちょっと離れる。


 ……いや、本当になんだったの?

 それが気になるんだけど。


 やっぱなんかほしいんだ!

 よし、なんか買ってあげよ。


 俺は辺りを見渡した。


 そこには和菓子屋があった。

 そういえば咲羅の好物って桜もちだったよな?

 うん、それにしよう。


 「咲羅、あの店行こうぜ」


 俺はその店を指差して言う。

 咲羅は満面の笑みを浮かべてうなずいた。


 やっぱ桜もちほしかったのかな?

 さすが俺の推理、当たってた……。


 俺がその店に向かおうとしたときだった。

 その店から一人の制服を着た女子高生が出る。

 うちの学校とは違う。


 でも、その女子高生の顔を見た瞬間に足が止まった。

 その女子高生は俺に気づいてないみたいだ。


 「……咲羅、ごめん。こっから離れる」


 俺は店と反対方向に歩き出す。

 咲羅は驚いた表情を浮かべて俺についてきた。


 店からだいぶ離れると、俺は止まった。

 あの女子高生ももうここまで来ないはずだ。


 「天太? どうしたの?」

 「……なんでこんなときに会うんだろ……」

 「天太?」

 「……ごめん、なんでもない。帰ろっか」


 俺はそのまま歩き出した。


 まさかまた会うとはな……。

 向こうは俺の名前と顔を忘れてないはずだ。

 俺も忘れてない。


 俺の人生の、唯一の大きな失敗だもんな。

 ……あーあ、直接会って謝る勇気がほしいな……。

 『ツバサ』……。

咲羅の好物が桜もちってこと覚えてましたか? ※作者は忘れかけてました。

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