第179話 咲羅と公園へ 〜2〜
「なんかこういうところ、落ち着くよね」
歩いてたら咲羅が言った。
木のおかげで日光は今直接当たってない。
「確かに」
「天太ってこういうとこ落ち着く?」
「ああ、こういう影の部分はな」
「そっか」
これで会話は終わった。
一つ思ったことがある。
なんか気まずい……。
無言は気まずすぎる。
黙るのってよくないよな?
せめて話さなきゃいけないかな?
わかんないな……。
「そうえいばさ、冬休みにどっか行きたいね」
「そ、そうだな」
そっか、もうそろそろ冬休みだ。
やったー、休める。
今回もクリスマスは独りで大晦日も独りでお正月も独りかな?
「どこ行こっか」
咲羅が手をつないでくる。
……急にどうしたんだろ……。
……! わかった!
なんか買ってほしいのかな?
ほら、ドラマとかであるじゃん、こういうの。
『私、ほしいものがあるんだけど~』ってやつ。
そうか、そういうことだったのか!
「なにがほしいんだ?」
「……わかってるでしょ! 言わせないでよ!」
なんでー?
普通にわかんないんだけど。
俺の察する能力が低いってこと?
マジでわかんない。
「咲羅、普通にごめん。わかんない」
「……マジ?」
「マジ」
「……天太と一緒にいたい」
超小声で言う咲羅。
……え、俺と一緒にいたいの?
「ほ、ほら! 恥ずかしいじゃん!」
「いや、恥ずかしいかな?」
「え?」
「……あ、普通に恥ずかしいな、確かに」
「はぁ? 煽ってんの!? 今絶対にかっこいいこと言う感じだったよね!」
えー……。
咲羅ってこんな怒る人だったっけ?
「……あ、ちゃんとした疑問あったわ」
「……なに?」
「なんで俺と一緒にいたいの?」
「つ、付き合ってる人と一緒にいたいのは当たり前じゃん!」
あー、そっか。
そりゃそうだな、付き合ってる人と――。
――って、『付き合ってる人』!?
「待って、どういうこと!?」
「つ、付き合ってるでしょ!」
「いやいや、そうなの!?」
「キ、キスしたんだし付き合ってるって!」
「いや、キスなんか……したな! 昨日! ってか、それで付き合ってる判定!?」
「普通そうでしょ! じゃあなに? 付き合ってない女といっぱいキスするの!?」
「そんなことないけど……」
「でしょ?」
「いや、でも付き合ったなんて知らないし」
「昨日から付き合ってたと思ってたんだけど!?」
「おー、じゃあよかったな。早めに気づけて。まだ誰にも言ってないし。もし誰かに言ってたら大変なことになるからな」
「……親に言っちゃったんだけど」
……あ、終わった。
もしかしたら12月の終わりと1月の初めのほうは投稿できなくなるかもしれません。お正月ですね……。