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第168話 男たちと総一朗の口ゲンカ

 前が見えてきた。

 そこには総一朗と例の3人の男がいる。


 間違いない、湊亜をいじめてたやつらだ。


 俺は総一朗の影に上手く隠れられてたみたいで、その3人は気づかない。

 いや、総一朗との口論とかに熱中してて気づかないだけって可能性もあるけどな。


 俺はできるだけ近づいて、そいつらがなにを話しているか聞いた。


 「――だから、俺のことは関係ないって言ってるだろ?」


 総一朗がそう言ってる。

 どういう状況になってるかはもっと聞かないとわからない。


 「いやいや、『邪魔だからあっち行け』って言っといてそれはないんじゃない?」

 「そんなキツイ言葉使ってないけどな。ま、言ってることは同じだけど。ってか、よくわかったな。ご褒美になんかしてやろっか?」

 「あぁ? なめてんの?」

 「逆になめてるってことがわからないの?」


 想像以上に総一朗が挑発してる。

 ここまでくると時間稼ぎしてる可能性もでてきた。

 まだ俺が湊亜と話してると思って、俺がここに来るまで頑張ってる感じがする。


 こんなアドリブ、急には無理だよな。

 でも悪いな、もうちょっと我慢してもらう。


 「あのさぁ、逆にお前と湊亜になんの関係があるの?」

 「まだわかんねぇのか? 恋人だよ、彼氏」


 んー!?

 湊亜と総一朗って付き合ってるの!?


 え、意外なんだけど!


 「へー、妄想?」

 「リアルだよ、バーカ。俺にとって湊亜が大切な人だからなにもかも捨てる覚悟でここに来たんだ」


 り、リアル……!

 マジで付き合ってるのか……!


 それはお幸せに……。


 「お前さ、湊亜のなにがいいの? 色気もねぇし、性格もクソ悪いのに」

 「目腐ってんのか? 湊亜は色気あるし、性格もいいよ。お前、湊亜の裸見たことあるのか?」

 「あるわけねぇじゃん」

 「だったら湊亜が色気ねぇなんて言うなよ」


 ちょっと待って!

 総一朗の言葉からすると、こいつ湊亜の裸見たことあるの!?


 裸見たってことは、ああいうこともしてるってことだよな!


 こいつ……、もうそんな関係になってるのかよ……。


 「え、お前湊亜の裸見たことあるの? キモ」

 「んなこと言ったらお前らの親全員裸見せあってるんだぞ? それはキモくないのか? 想像してみろよ」

 「……1回落ち着こうぜ。俺たち、同じ年齢だよな、多分」

 「そうだな」

 「ってのとは親、40代とか50代だよな?」

 「ああ」

 「その親が裸見せ合う……?」

 「……ごめん、変なの想像させちまった。俺は今食欲なくなった」


 いやいやいや!

 こいつらなに話してるの!?


 親が泣くぞ!


 「……! 靴ひも!」


 急に総一朗がしゃがむ。

 だから、総一朗に隠れてた俺が丸見えになった。


 クソ……、総一朗……、なんで今靴ひも解けるんだよ……。

 ってか、なんでこのタイミング?

 マジで靴ひも解けてるし……。


 「! 誰だ……!」


 3人の男に俺の存在がバレた。


 仕方ない、やるしかないか。

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