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第159話 連れてきた理由

 「名取……、一つ訊きたいことがある」


 アイスを食べ歩きしながら名手に話しかける。


 「……はい、なんですか?」

 「このアイス何円?」

 「……はい?」

 「いや、だからこのアイス何円?」

 「急にどうしたんですか。今の感じ、もっと重要なこと訊くところでしょ」

 「いや、このアイスの分のお金渡さなきゃなって」

 「いりませんよ。それより、私がここにお二人を連れてこさせたことを話しますね」


 なんか名取、変わったな。

 名取ってこういうの、自分から言うスタイルだったっけ?

 もったいぶって結局はこっちから言わなきゃいけない系のやつだと思ってたけど。


 「文化祭でお二人が会った、夜泉さんと関係があるあの男たちがあの先にいました」


 ……ちょっと待って、まだ寝ぼけてるって理由で頭が追いついてない。

 整理しよう。


 文化祭で俺と湊亜が会った人。

 そして湊亜と関係がある男たち……。


 ……ああ、あいつらか。

 演劇終わったあとに会ったやつら。

 湊亜をいじめてたやつらだ。


 「そっか……、まだいたんだ……」

 「その言葉からすると、前からなにかされていたみたいですね」

 「まぁね。教えてくれてありがとうね。危うく天太くんも巻き込んじゃうところだったよ」

 「はい」


 ニッコリ笑う湊亜と名取。

 ……なんかいにくいな、俺。


 それより、これって警察に言ってもいいやつだよな?

 警察にあとは任せたほうが、あの男たちはもう手を出してこないと思うのに。

 でも湊亜はそれを避けたがってる。

 あの男たちのことを考えて。


 やっぱ優しすぎるんだよな、湊亜は。


 ってか、高校生になってもいじめするとかバカかよ。

 ……中学生でしてた俺が言える言葉じゃないけど。


 「よし、もう暗い話はやめよ! こんな話してても楽しくないし」

 「それでは、好きなピーナッツバターの味について語り合いましょう」


 んー、ピーナッツバター?

 なんでピーナッツバター?


 それになんだよ、ピーナッツバターの味って。

 いや、わかるよ? どういう味かは。


 でも『好きなピーナッツバターの味』って……。

 いちご味とかレモン味とかあるの?






 「おー、やっと来たよ」


 ピーナッツバターの味について聞いてたら教室まで来た。

 そしたら総一朗が言う。


 「なんか疲れてそうな顔してんな」

 「ピーナッツバターはもうお腹いっぱい……」

 「とうとう狂った? それより咲羅さんは?」

 「咲羅?」

 「いつも一緒に登校してんだろ? 確か……、お前の家の前で待ってんだろ? 教室の窓から見てたけど、お前湊亜さんと名取のやつとしか登校してなかったじゃん」


 ……あ。

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