第157話 隣に……
……んん……、朝……?
目が覚める。
でもまだ目は開けてない。
眠いな……。
あれ? あのあとどうなったんだっけ?
……そうか、俺が湊亜のベッドで寝ることになったんだ。
湊亜は別の部屋で寝るとか言ってたな……。
あーあ、起きたくないな。
このままあと3時間は眠っていたい。
居心地いい。
それといいにおいする。
あとあったかい。
……なんだっけ? こういう体験前もしたことある気がする。
あったかくていいにおいして……。
……! まさか……!
目を開けて起き上がって見る。
隣で湊亜が寝てた。
気持ちよさそうに寝てるな――って、なに思ってるんだ!
なんで湊亜がここに!?
ヤバい、どうしよう……!
咲羅のときもこうだったな……。
えっと、咲羅のときはどうしたんだっけ……!
とりあえず、こっから黙って逃げよう。
なるべく湊亜を刺激しないように動く。
これで起きないはずだ――
「――ん……?」
ゆっくりと目を開ける湊亜。
なんで起きた?
「……あまた……くん?」
はい、あまたくんです。
いやいや、どうしよう……。
「……まだ寝よ?」
はい、寝たいです。
……って、本当になにやってんだよ!
湊亜と一緒に寝たってみんなに知られたら社会的に俺の居場所がなくなる。
それに総一朗に拷問される。
『なんで湊亜さんと寝た!』って怒られる。
「……あ、朝ごはんか」
朝ごはん?
湊亜はそう言って起き上がる。
まだ眠そうだ。
「おはよ、よく眠れたよ」
ニコッて笑う湊亜。
かわいいな、総一朗が見たら気絶するくらい。
「えっと……、もう6時か……。今日の朝ごはんなにかな……?」
ゆっくりとベッドから降りてふらふらしながら湊亜は部屋から出ていった。
……特に言及されなかったな、『なんでお前がここにいるんだよ』とか『なんで一緒に寝てんだよ』とか。
それよりどうしよう……。
ここにいてもしかたないからベッドから降りた。
そのときに気づいたけど、湊亜の顔があったところが濡れてる。
びしょ濡れじゃなくて、ところどころに水滴がついてる感じ。
寝ぼけててなんも考えずにそれに触った。
もう冷たくなってる。
よだれとかじゃないみたいだ、サラサラしてる。
多分汗でもない、こんな一部分に滴らない。
それ以外で顔から出る水分……。
……涙?
泣いてたのか?
寝てる間に泣くって、夜驚症とか?
……いや、そうとうストレスたまってたりしてるのか?
泣くとストレス解消になるし。
……湊亜……。
ずっとここにいるのも怪しまれるから、すぐにここから出た。
ただ、朝から気分は落ち込んだけど。




