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第152話 湊亜の親と

 今日も独りで帰りたい気分だった。

 いや、帰るだけじゃない。

 ずっと独りでいたい。


 だから休み時間も教室から出ないで、ずっと寝たふりしてた。

 それを見て察してくれたのかわからないけど、誰も話しかけてこなかった。


 退屈な授業もすぐに終わって、気づいたらもう終礼も終わってた。


 帰ろうと荷物を持ったら誰かが俺の前に来る。

 担任の先生だ。


 「木神、夜泉と仲良かったよな?」

 「……まぁ……」

 「ちょっとプリント届けてくれないか? 夜泉の家に」

 「……わかりました」


 先生が持ってた大きめの封筒を受け取った。


 嬉しい気持ちもあるし、悲しい気持ちもある。

 湊亜とまた会えて、話ができる。


 でも肝心の湊亜の家がわからない。


 「……あ、あとこれから夜泉の親が車で来てくださるからそれで家まで連れて行ってくれるらしい」


 え、なんで?

 お母さん来るならお母さんに渡そうよ。

 俺が湊亜の家に行く理由がわからない。


 「ってか、もう来てるから早く行け。校門で待ってるらしい」


 はいはい、わかりましたよ。


 先生に背中を見せて教室から出ようとした。


 「――あ、あと一つ」


 先生の声が聞こえた。

 でも聞こえないふりしてた。


 「夜泉の親が言ったんだ。『木神天太と話がしたい。あと、湊亜とも話をさせたい』ってな」

 「…………」


 自分でもよくわからないな、この気持ち。

 なんで湊亜の親が出てくる?


 そんなことを考えながら廊下を歩いてた。

 気づいたら校門のところまで来てた。


 目の前に車が停まってる。


 これかな?


 車の運転席を覗いて、中には入ってる人を確認する。

 女の人がいた。


 窓がゆっくりと開く。


 「木神天太くん?」

 「はい」

 「オッケー。助手席乗ってくれる?」

 「はい」


 言われた通り、助手席に座る。

 俺がシートベルトを締めたのを確認すると、女の人は車を走らせた。


 「湊亜からよく聞いてるよ」


 最初に話しかけてきたのは女の人からだった。


 「いっつも話してくれる。仲良くしてくれてありがとうね」

 「こちらこそ仲良くさせてもらってます」

 「あのね、天太くん。湊亜って学校じゃどういう人なの?」

 「湊亜……さんは……、とてもいい人だと思います。誰にでも明るく接しますし」

 「……それならよかった」


 さっきよりも声のトーンが高くなってる。


 「じゃさ、今日湊亜がどういう話するかは想像できる?」

 「……はい……」

 「それならよかった。私もなんとなく想像できるてよ」


 ……なんか最近、話重いな……。

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