第15話 咲羅と実璃の3人で
結局、咲羅と実璃の弁当は全部食べた。
他の女子生徒も弁当をつくつてきてくれたみたいで『なんで私のお弁当は食べないの!?』ってめっちゃ文句言われたから、頑張ってそれも食べた。
今日の夕飯、食えそうにない……。
「ねぇ、そういえばさ、なんで天太に近づこうと思ったの?」
教室に帰る途中、咲羅が実璃に訊く。
他の女子生徒たちは、気づいたらいなくなってた。
「怪しすぎるんだけど、急にお弁当なんかつくってきて」
おいおい、その言葉お前が言っちゃいけないだろ。
まだ実璃の方が納得できる出会いだったけど、咲羅の出会いは『有名人かと思ったら木神じゃん』だったからな?
しかもお前、路地裏まで連れてきてメール繋いだからな?
「怪しいですか……?」
「うん、怪しすぎる」
「…………」
黙り込む実璃。
俺はなんて言ったらいいんだろう……。
「……それは……まだ……言えないです……」
何その意味深な言葉!
しかも泣きそうな表情してるし!
「へぇ……」
咲羅は目を細くして実璃を見たあと、すぐに顔をそらした。
そのとき、後ろから『咲羅ー! ちょっと来てー!』と女子生徒の声がする。
咲羅は振り返り、面倒くさそうな顔をしたあと、俺に『ちょっとごめん』と言って走っていった。
「……天太さんは……どう思いますか……?」
唐突に訊いてくる実璃。
「私……変ですか……?」
「いや、そう思わないけど……」
「……自分に……自身がないんです……」
実璃……?
俺は実璃の顔をのぞくように見る。
実璃はハッとして、急いで笑顔をつくった。
「な、なんでもないです! 忘れてください!」
実璃はそう言って、逃げるように走っていった。
マジで意味深なことばっかじゃん……。
「天太ー!」
声が聞こえる。
咲羅が俺のところに走って向かってきていた。
「あれ? 実璃は?」
「なんかどっか行った」
「どっかって……」
「それより、お前は何してたんだ?」
「いや、なんか話のネタにされただけ」
話のネタにされるためだけに行ったのか……。
話のネタにされないよりかはマシだと思うけど。
「それとさ、天太。今日放課後空いてる?」
今日の放課後……?
空いてるけど……何されるんだ……?
「空いてる」
「じゃあさ、ファミレスでも行こうよ。食べたいティラミスがあるんだ」
「……それって『俺に奢れ』って言ってんのか……?」
「逆に奢ってくれるの?」
「嫌だ」
ティラミス食べるためにファミレスに行くのか……。
女子ってみんなそうなのかな……?
男子もそんなことするのかな……?
インドアの俺はわからない……。
最近ティラミス食べてない……。