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第149話 湊亜になにがあった?

 「……湊亜がなんかあったって聞いたけど、本当?」


 地下体育館の舞台裏。

 そこの奥の部屋で湊亜と名取が二人でなんか話してる。

 今は二人きりがいいってことになって、俺たちはその部屋に入ってない。


 そこで待ってたら咲羅たちが来た。


 「まぁ……、ちょっと……」

 「マジでヤバいやつ?」

 「多分マジでヤバいやつ」


 ってか、日本語ってすごいな。

 『マジ』と『ヤバい』くらいの単語しか使ってないのにだいたい意味伝わる。


 「――木神天太くん」


 名取の声が聞こえる。

 名取がこっちに来てた。

 湊亜の姿はない。


 「って、名取!? なんであんたがここに!?」


 湊亜になんかあったことは知ってて名取が来たことは知らなかったんだ……。

 それよりなんで湊亜のこと知ったんだよ。


 「夜泉さんが呼んでます」

 「あー、俺?」

 「はい、『二人きりで話したい』と」


 なんで俺?

 まぁ、湊亜がそう言ってるなら行くしかないか。


 「ちょっ、天太!? 名取の説明まだなんだけど!」

 「俺だってよくわかってねぇよ。今日色々起こりすぎ。銃で人殺すし、モヒカンに追いかけられるし、モヒカンに殺されそうになるし、モヒカンのせいで疲れたし」

 「だいたいあのモヒカンの先輩なんですね……」


 そりゃそうだろ。


 名取と入れ替わる形で部屋の中に入る。

 演劇のとき、俺が休んだところだ。

 あそこ、サイダー飲んだとこ。


 中で湊亜が立ってた。

 近くに座るとこあるのに立ってた。


 「天太くん……」

 「よ、湊亜。どうした?」

 「急に呼んでごめんね」

 「大丈夫、行ったり来たりするのは慣れてるから。姉ちゃんのおかげで」


 姉ちゃん、よく俺をこき使うんだよな……。

 『コップ持ってきてー』とか『コーラ持ってきてー』とか。


 「……さっきの人たち、わかる?」

 「名前はわからない、でもなんとなくはわかる」

 「……どういう人だと思う?」


 『湊亜をいじめてたやつ』とかじゃないの?

 湊亜の昔からの発言で、湊亜はいじめられてたってことはわかってる。


 しかもあいつらの発言、絶対にいじめっこだろ。


 それに湊亜、あいつら見てから怖がってた。


 「……言っていいやつ?」

 「言っていいやつ」

 「いじめてたやつ、だろ?」

 「ひどい言い方するとそうだね」


 『ひどい言い方』って……。


 「あーあ、せっかく転校して髪型まで変えたのにな……。やっぱ髪も染めればよかったな……」


 悲しそうにつぶやく湊亜。


 「湊亜……」

 「……ごめんね……。こんなこと言われても意味分かんないよね。……うん、元気出た! ありがとうね!」


 手で涙を拭って笑いながら部屋から出る湊亜。

 でも作り笑いにしか見えなかった。

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