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第147話 後片付けで

 「お疲れ様ー!」


 舞台裏で小道具とか片付けしてたら湊亜が話しかけてきた。


 あのあとちゃんと終われた。

 柚斗のナイスな行動で一応終われた。


 あれはあれで成功なのかな?


 「ああ、お疲れ様」

 「なんか台本と全然違うものになっちゃったけどあれはあれで面白かったね」

 「俺は命の危機を感じたけどな」

 「あー……、ちょっとこっち来れる? 話したいことがあるんだ」


 話したいこと?

 なにかな?


 小道具の片付けは近くにいる小道具係の女子生徒に任せて、俺は湊亜について行った。


 湊亜はただ廊下を歩いてる。


 「天太くん演技力よかったよ」

 「え、あ、ありがと」

 「アドリブでよくあんなこと言えたよね、いい意味で」

 「そういう湊亜こそなんかすごかったぞ。……あ、あと柚斗も最後のあれはすごかったな」

 「あー、あの締めくくりでしょ? あれのおかげで助かったよ。ま、お疲れ様。今日このあとどっか行く? 打ち上げみたいな感じで」


 おー、打ち上げか。

 やるのは初めてかもな。


 「どこにする? カラオケとか――」

 「あ、湊亜じゃん」


 後ろから湊亜の声を遮ってくる男の声。

 俺と湊亜は同時に振り向いた。


 なんかチャラそうな男が3人いる。

 全員高校生かな?

 うちの学校のやつじゃなさそう。


 誰だよ、お前ら。


 湊亜の知り合いかな?


 そう思って湊亜を見る。

 でもあんまりいい関係なやつらじゃなさそうってことはわかる。


 だって湊亜、怯えてる表情してるから。


 「演劇見てたぞ、面白かった」


 ニヤニヤ笑いながら一人が近づいてくる。

 そして馴れ馴れしく湊亜の肩に手を置く。


 「ってかさ、来てやったんだから『ありがとう』だろ?」


 ……は?

 いや、お前らが『来たい』って思って来たんじゃないの?


 「なんかプレゼントしてくれてもいいんだぜ? ()みたいにな」


 ……は?

 待って、なんかわかってきたかも。


 「おい、なに黙ってんだよ。せっかくの再会なのによ。調子――」

 「ちょっと待て」


 なんか聞き覚えのある声が聞こえる。

 湊亜の近くに総一朗がいた。


 「湊亜さんが嫌がってる。離れろ」


 おー、初対面の人にそんなこと言えるんだ。

 さすが総一朗。


 「あ、努力とかなんとかごちゃごちゃ言ってたやつじゃん。なに? またかっこつけてきたの?」

 「かっこつけて悪いか?」

 「キモいんだよ、そう言って恥ずかしくないの?」

 「湊亜さんをそんな表情にさせて恥ずかしくないのか?」


 おー、総一朗が口ゲンカしてる。

 なんか珍しい。


 「だいたいさ、お前も調子乗ってんだろ? 湊亜の態度が感染したか?」

 「湊亜さんを悪く言うな」

 「おー、痛い言葉来たー! あとさ、普通に目障りだからこっから出ていってくんない? 今湊亜と――」

 「そうですよ、出ていってくださいよ」


 男の後ろからまた聞き覚えのある声が聞こえる。


 でも聞きたくないって思ってたやつの声だ。

 

 「私の知り合いを怖がらせないでくださいよ、この学校の生徒でもないくせに」


 その声のやつは男の肩に手を乗せる。

 ――そいつは名取真央だった。

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