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第14話 実璃の弁当

 「おいおいおい!」


 教室の席に座っていたら、いつも通り総一朗が来た。

 今日はなんか焦ってる。


 「お前!」

 「今度はなんだよ……」

 「今日咲羅さんの他にもう一人の女子生徒と登校したらしいな!」


 実璃か……。


 「まぁ……」

 「しかも結構かわいい子と!」


 確かに実璃の顔は整ってる方だと思うけど……。

 それがどうした?


 「ハーレム築きやがって! 急にモテやがって! お前は裏切らないと思ってたのに!」

 「俺の意思でハーレム築いたわけじゃねぇよ」

 「しかも咲羅さんとキスまでして!」

 「キスなんかしてねぇよ」

 「昨日してただろ! 倒れたときに!」


 昨日倒れたとき……?

 キスしそうになったけど、ギリギリしてないよ?


 「あ、あの……」


 後から聞き覚えのある声。

 実璃がいた。


 やっぱり声が小さい。


 「お弁当……つくってきたので……ぜひ……食べてください……」


 ……はい?


 え、『弁当つくってきた』って言った?

 待って待って、咲羅も弁当つくってきてくれたんだけど!?


 確かに、実璃の手には弁当箱があった。


 「お母さんが出張と聞いて……」


 なんで知ってるのー?

 俺あの女子生徒たちくらいにしか言ってないよ?


 「あの……、迷惑……、でしたか……?」


 実璃は泣きそうな表情をする。


 ヤバい……この目……心にくる……!

 これで『ああ、迷惑』とか言ったら罪悪感が……。


 「い、いや! 全然迷惑じゃない! むしろ嬉しいなー!」


 よし、完璧な演技力!


 「……やっぱり……、迷惑なんですね……」


 なんで!?

 なんでバレた!?


 あ、別に本当に迷惑とか思ってないけど!


 俺の演技力を見破るとは……、実璃……、ただ者じゃない……!


 「いや、マジで嬉しい!」


 俺は実璃の手をギュッと握る。

 実璃はビクッとする。


 「俺さ、嫌われてたんだ! 今まで、誰かに何かされたことないんだ! だからめっちゃ嬉しい!」


 俺の言葉に、実璃は目を大きくする。


 「……天太……?」


 また後ろから聞き覚えのある声。

 咲羅だ。


 咲羅の手には弁当箱。


 「何やってるの……?」


 ……なんかヤバいことが起きそう……。


 「実璃……、それ、お弁当だよね……? 天太……、まさか……」


 ヤバい! なんか言われる!


 「咲羅! これは違うんだ!」

 「え……、違うんですか……?」


 実璃ー!

 今ここで喋らないでくれ!


 そうだ、総一郎!

 あいつに助けを求めよう!


 ……って、総一郎?

 どこに行った?


 ……いた!

 教室のすみっこにいる!


 そして俺を睨んでる!


 睨まないで助けろよ!

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