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第139話 演劇 〜2〜

 「よし……、ギリギリ間に合った……」


 湊亜?

 このまま劇続けちゃっていいの?

 一人亡くなったよ?


 でも湊亜が続けてるからやるしかないか……。


 「な、なんなんだよ……、これ……!」

 「うーんとね……、キミたち人間の言葉を使うなら『幽霊』ってやつかな? ただそれと違うのは肉体があること。だから銃弾も喰らったの。そういえばまだ名前聞いてなかったね。なんていうの?」

 「いや、いきなり現れてハンドガン持ってたやつに名前なんか教えられるわけないだろ」

 「そんなこと言わないでよ、こっから出るのに長くなりそうだし。1回幽霊出ちゃったから次々に出てくるよ、きっと。だから名前くらい聞きたいなって。私はアカネっていうんだ」


 次のセリフで俺は名前を言わなきゃいけない。

 でもその名前、めちゃくちゃ言いたくないんだよね。

 絶対に笑いが起こる。

 そして目立つ。


 いや、覚悟を決めるんだ。


 「俺は……、『鼻からスパゲッティ』だ」

 「……はい?」


 ちゃんと台本通り聞きなおす湊亜。

 また言うのか……。


 ってか、なんで文芸部のやつら『鼻からスパゲッティ』って名前にした?


 「は、鼻からスパゲッティ……、だ……」

 「…………」

 「名字は……、『牛乳を口で飲み』……」

 「……『牛乳を口で飲み、鼻からスパゲッティ』くん……?」


 あー! マジで恥ずかしい!

 もう嫌だ!

 文芸部嫌い!


 「じゃ、じゃあ……、『スパくん』って呼ぶね……」

 「はい、お願いします」


 うわー、言音と実璃は爆笑してる。

 咲羅と姉ちゃんはゴミを見るような目で俺を見てる。


 「と、とにかくここから出るよ! 見つかる前に――」

 「もう見つかってるけどね」


 声が響く。

 ここで新しいキャラが登場するんだけど、誰なんだろう。


 舞台裏から誰かが出てくる。


 ……柚斗……?

 え、柚斗がこの役なの?


 「おい、鼻からスパゲッティ、ここでなにしてる?」

 「これは――」

 「その死体、幽霊か?」


 さっき撃たれた生徒に近づく柚斗。

 ……こいつ意外と演技力あるな。


 「お前もこいつから逃げてるのか?」

 「いや、そういうわけじゃ……」

 「持ってるの、銃だろ?」

 「はい」

 「それで殺せるのか?」

 「ちょっと待って、キミ誰? スパくんの友達?」


 湊亜が俺と柚斗の間に入る。


 「友達……というわけでもないが、同じクラスだ」

 「へー、なんでここに?」

 「忘れ物を取りに来たんだ。そしたら変なやつらに追いかけられて……」

 「だったら早く逃げて。他のやつらが来る前に」

 「どうやって? 出入り口は全部塞がれた。窓も開かない。逃げられない」

 「……キミ、名前は?」

 「『シュウ』だ」

 「シュウくん、ちょっと昇降口のところまで一緒に来てくれない?」

 「わかった」


 湊亜と柚斗は舞台裏に行く。

 俺は二人を追いかけるように、舞台裏に行った。


 今のところ演劇は成功してるのかな……?

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