第135話 証言 〜2〜
「えっと……、まず翔琉に質問。なんで真夜中にサッカーしてた?」
「サッカーしたかったから」
「寝てなかったのか?」
「起きて勉強してた」
えらいな。
いや、深夜まで勉強しなきゃいけないほど頭悪いって可能性もある。
「じゃあ……、カズキに質問。どっちからサッカーしようって誘った?」
「翔琉から」
ま、そりゃそっか。
翔琉がやりたいって言ったもんな。
「……言音に質問。どこで勉強した?」
やっと総一朗がまともな質問する。
確かに、どこで勉強したんだろう……。
「私の家です! ね、キョウコ」
「うん。言音が誘ってくれたんです」
なるほど。
今のところ翔琉と言音が誘ってる。
それでアリバイをつくってるって可能性あるな。
……でも、誘われてそれぞれの場所に行くついでに学校に寄って犯罪したって可能性もあるな。
「言音ちゃんに質問いいかな? なんでそんな時間に勉強しようと思ったの?」
湊亜も質問する。
「やっぱり勉強って大切じゃないですかー。それで思ったんですよ、『あ、これ今すぐ勉強しないと留年になっちゃう』って」
「そう……、なんだ……」
「はい!」
なかなか笑えない話だな。
「じゃあキョウコちゃんはなんで言音ちゃんと勉強しようと思ったの?」
「言音は親友で、突然『勉強しよ』ってメールが来たので、無視はできなくて……」
「そーなんですよー、キョウコのおかげで勉強できました!」
……なんか怪しくなってきた。
親友だからって真夜中に親友の家まで行くか?
だって迷惑だし、行くの面倒くさいし。
それに止めると思う、『こんな時間に行くのは無理だよ』みたいに。
うん、きっとそうだ。
「カズキくんは?」
「ノドがかわいてコンビニで水買おうとしたら、近くの公園でサッカーボール持ってる翔琉がいて……」
翔琉、独りでサッカーしてたのか。
ま、独りもいいよな。
……? でもなんでコンビニ行った?
コンビニに行かなくても、家で飲めばよくない?
ジュース飲みたいとかだったらわかるけど、水でしょ?
なら水道水飲めばいいじゃん。
それとも水道水は飲めない人なのかな?
……いや、待って。
ヤバい、なんか閃いた。
なんで急に閃いた?
「キョウコに質問。言音に誘われたときどこにいた?」
「家ですよ?」
……うん、一瞬で俺の仮説が崩れたわ。
よかったよ、あの仮説口に出さなくて。
それじゃ嘘つきになっちま――
――『嘘』……?
……そっか、これは嘘の可能性もあるんだ。
やってみるか。